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耕一
必ず因数分解できる方法というのはあるのでしょうか.
南海
「必ずできる方法」を何というのか.
耕一
「アルゴリズム」です.
南海
つまり「因数分解のアルゴリズム」はあるのか? ということだ.
因数分解についてどんな方法を知っているか.
耕一 の整式を因数分解する方法は次のものしか知りません.
- 二次式は,二次方程式 の
二つの根
をもちいて次のように因数分解される.
- 因数定理で一次の因数を発見し,次数を下げる.
- 適当な置き換えによって二次式として分解し,それを繰り返す.
しかし,因数定理で因数を発見するというのは,方程式の根を暗算で見つけるということですから
いつもそれでできるとはかぎりません.
因数を発見する一般的な方法はあるのでしょうか.
したがってまた,因数がない,つまり既約であることを証明する方法は
あるのでしょうか.
南海
たいへん難しい問題だが,
整数係数の多項式のの整数係数の因数を発見するアルゴリズムは,これがあるのである!
をの整数係数の次の整式としよう.
- の因数は, 以下のものでさがせばよい.
を超えない最大の整数を とする.
- を の因数とすれば は を割り切る.
- 個の相異なる整数
を選ぶ.
-
は
で割り切れる.
-
をそれぞれ因数分解し,約数を選ぶ.
選び方の組み合わせ方は有限個である.
- これらの値を
の値とする
をラグランジュの補間公式で構成する.
- このとき, の係数が整数であることなどを用いて,
可能なものを限定するとよい.
- すべての の整数係数の因数は,
約数の組み合わせ方をかえててできる有限個の の中にしかない.
実際に割ってさがす.ひとつもなければ,既約である.
「ラグランジュの補間公式」は『新作/改作問題』「ラグランジュの補間公式」を見てほしい.
この方法で,
を因数分解しよう.
耕一
でも
ですね.
南海
これがこの方法ではどうなるかやってみるのだ.
- 4次のの整数係数の整式 の因数で2次以下のものを求める.
を2次以下の の因数とすれば は を割り切る.
- 3個の相異なる整数として, を選ぶ.
である.
の因数を, とする.
-
とおく.つまり
- のうち一つの符号は任意にとれるので とする.
-
の16通りの組み合わせがある.
ガウスの定理4により,
が のものだけを考えればよい.よって
- 各々 を求めると,
,
,
.
- 下線を引いた2つが, を割り切る.よって
南海
大切なことは,「必要条件で絞る方法がある」ということだ.
必要条件は個別に工夫すればよいが,最後の手があるのだ.
Aozora Gakuen