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南海 以上の考察はそのまま次元に一般化される.
面積公式から考察をはじめたが,
面積公式そのものは必要ない.
一次独立性を判定する行列式が0であることのみを用いる.
太郎 ここまでのことをまとめると
- まず次元空間におかれた個の点が,
次元空間上にある条件を座標の行列式で表す.
- その条件を,点間の距離の行列式で表す.
- 点間の距離の行列式に半径の和か差を代入する.
- その結果得られる半径の間の関係式が次元の場合の球定理である.
となります.
南海 そのとおりだ.
さて次元空間で同様のことを行う.
そのために,次元空間の座標を
として,
の部分にも座標変数があり合計で個であるとしよう.
太郎 元空間におかれた個の点を
とする.これらの点が次元空間上にあるための必要十分条件は
です.
である.の場合と同様に計算する.
や
などをそれぞれ
,のように表す.
個の座標にわたる和である.
の場合と同様に
となる.
ここで,
第列に,,…,をかけて
それぞれ第一列,第二列,…,第列に加える.
また
第行に,,…,をかけて
それぞれ第一行,第二行,…,第行に加える.
各座標成分についてこれを行うことで
を得る.
ここで
とおく.
次元空間におかれた個の点が次元空間上にある必要十分条件
はであったので,等式
が次元空間におかれた個の点が次元空間上にある条件を,
点間の距離の関係式で表したものである.
南海 ここに
を代入する.
ただし番目の球に他の球が内接する場合
を代入する.
この場合はを負にとることにすれば,
場合に分ける必要がない.
太郎
第行にをかけ第行から引く.
第列にをかけ第列から引く.
この結果
第行,第列に2をかけ,
そのうえで各列を2で割ってもは変わらない.
そのうえで
第行をで割り,
第列をで割る.この結果
これを展開することによりの場合と同様に
|
(1) |
が得られるはずです.
南海 結論はその通りである.実際,次のようになる.
この結果,等式(1)が得られる.
ここで次行列式とを
とおく.等式(1)は
|
(2) |
となる.
これから
よってすべてので
等式(2)より
両辺に
を加えて
を得る.
すでに指摘したように,この球が番の球に内接しているときは,
を負とすることによって示される.
以上で定理2が示された.
□
和算ではのときの公式を用いて,
六球連鎖の問題を解いたのだ.
互いに接する3個の球
のどれにも接する球の連鎖
について,まずで球定理をつかえばの半径が決まる.
これから
と順に決定してゆけばで終わることが示せる.
これは膨大な計算になるはずだ.
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2014-07-06