伍郎 いろんな観点というと, ベクトル,座標,図形の論証,などですか.
南海 これは実は前に考えた「パスカルの定理」からの帰結でもある. これも紹介しよう.
まず,普通にユークリッド平面, つまり高校生が毎日見ている平面などで,考えていこう.
ベクトルでやるのと,座標でやるのは本質的には同じことだ. ただ,ユークリッド平面で考える以上, が平行な場合は別に考えなければならない.
が平行な場合,座標ではどのようになるか.
伍郎
図のように平面においてよい.
相似な拡大や縮小をしても一般性は失われないので,
の間の距離は1とする.
上に点
の
座標を,
とする. 直線 と直線 の交点を, 直線 と直線 の交点を, 直線 と直線 の交点をとする.
このとき3点
は一直線上にある.
そこで,
,
の交点をとおく.
,
が
ともに一直線上にあるので,
,
である.
平行条件を成分で書いて
伍郎 これを計算するのですか.
南海 もうひとがんばり
伍郎 したがって
南海
は,
において
伍郎 あっ,そうか.
南海 というわけだ.
が平行でない場合,これを参考にベクトルでやってみよう.
の交点をとし,に対して,
方向の長さ1のベクトルを
とする.
また
伍郎
ここからは私のはじめのやり方でと
先の座標の場合をあわせると,できそうです.
これから
はこの式において, 文字を の順に置きかえたものである.
ところが , , , は,いずれもこの置きかえで不変である.
よって
よって,3点 は同一直線上にある.
南海 そう.それでベクトルによる証明が出来た.
伍郎 とが平行な場合と式はそんなに変わりません. むしろベクトルを使った場合の方が簡単です.
南海 ベクトルで位置を表すのは, 斜交座標と考えれば,座標の複雑さでいえば, 直交座標の軸上と軸上にそれぞれ3点が並んでいるようなものだから, それほど複雑にはならない.
伍郎 そうか.ベクトルのいいところですね.