次: 微分方程式を解く
上: 方法2:オイラー=ラグランジュ方程式
前: オイラー=ラグランジュ方程式の導出
南海 このオイラー=ラグランジュ方程式は,極の条件を満たすための必要条件である. 最速降下の問題では
\begin{equation}
L=\sqrt{\dfrac{1+{y'}^2}{2gy}}
\cdots\cdots(3)
\end{equation}
であるから, $ L $ は $ y $ と $ y' $ のみを含み, $ x $ がない.
このとき,次のような変形が可能である.
オイラー=ラグランジュ方程式(2)より
\[
\dfrac{dy}{dx}\cdot\dfrac{\partial L}{\partial y}
-\dfrac{dy}{dx}\cdot\dfrac{d}{dx}\dfrac{\partial L}{\partial y'}=0
\]
であるが,積の微分から
\[
\dfrac{d}{dx}\left(\dfrac{dy}{dx}\cdot\dfrac{\partial L}{\partial y'} \right)
=\dfrac{d^2y}{dx^2}\cdot\dfrac{\partial L}{\partial y'}+
\dfrac{dy}{dx}\cdot\dfrac{d}{dx}\dfrac{\partial L}{\partial y'}
\]
なので,
\[
\dfrac{dy}{dx}\cdot\dfrac{\partial L}{\partial y}
+\dfrac{d^2y}{dx^2}\cdot\dfrac{\partial L}{\partial y'}
-\dfrac{d}{dx}\left(\dfrac{dy}{dx}\cdot\dfrac{\partial L}{\partial y'} \right)=0
\]
$ L $ が $ y $ と $ y' $ よりなる関数なので, $ y $ と $ y' $ の関数の $ x $ による微分から
\[
\dfrac{d}{dx}L
=\dfrac{\partial L}{\partial y}\cdot\dfrac{dy}{dx}
+\dfrac{\partial L}{\partial y'}\cdot\dfrac{dy'}{dx}
=\dfrac{\partial L}{\partial y}\cdot\dfrac{dy}{dx}
+\dfrac{\partial L}{\partial y'}\cdot\dfrac{d^2y}{dx^2}
\]
が成り立つ.よってこの場合,オイラー=ラグランジュ方程式(2)は
\[
\dfrac{d}{dx}L-\dfrac{d}{dx}\dfrac{\partial L}{\partial y'}=0
\]
となり,両辺 $ x $ で積分して
\begin{equation}
L-\dfrac{\partial L}{\partial y'}=c(定数)
\cdots\cdots(4)
\end{equation}
となる.
(4)に(3)の $ L $ を代入して
\begin{equation}\label{OLeq3}
\sqrt{\dfrac{1+{y'}^2}{2gy}}-\dfrac{y'^2}{\sqrt{2gy(1+y'^2)}}
=\dfrac{1}{\sqrt{2gy(1+y'^2)}}=c
\cdots\cdots(5)
\end{equation}
を得る.
こうして方法1による(1)と同様の式が得られた.
史織 しかしこの微分方程式は $y$ が定数であればつねに成立しませんか.
南海 その通りである.初期条件があるのでそのままでは条件を満たさないが, 局所的には $y$ が定数であってもこの方程式を満たす.
AozoraGakuen
2016-11-06