南海 まず98年の京大の入試問題と その一般化を紹介しよう.このときは史織さんが考えてくれた.
袋に青色,赤色,白色の形の同じ玉がそれぞれ 3 個ずつ入っている. 各色の 3 個の玉にはそれぞれ 1 , 2 , 3 の番号がついている. これらの 9 個の玉をよくかきまぜて袋から同時に 3 個の玉を取り出す.取り出した 3 個のうちに同 色のものが他になく,同番号のものも他にない玉の個数を得点とする. たとえば,青1番,赤1番,白3番を取り出したときの得点は 1 で,青2番,赤2番,赤3番を 取り出したときの得点は 0 である。このとき以下の問に答えよ.
例 1.6.4 (問題の一般化) 袋に, 種の色でぬられた同じ形の玉が 個ずつ 個入っている. 各色の 個の玉には 1 から まで番号がついている.ここから同時に個の玉を取り出す.
個のうち同色のものが他になく、同番号のものも他にない玉の個数を得点とする.
得点が になるような取り出し方の総数を とする.
史織 は
史織 ところで,この漸化式は解けるのですか.
南海 それが問題だ.少しでも前進しなければならない. できているところまで話そう.
ここで, と置こう. そして次の二つの無限級数を考える.
すると
ところがで,さらに あるから,
史織 わー,解けてる.ためしてみます.
南海 期待値は求まる.
南海 これが生成関数の方法で, 数列を求めるのに大変強力な方法なのだ. この先は,上に現れた関数の満たす関係を求めなければならず,それはできていない.
京大の問題は生成関数まで使わせてくれたという意味で大変良い問題だった.