とをの正の定数とする平面上に楕円 がある.
楕円の媒介変数表示では,角が必要である.そこで,の代わりにを用いる. これによって曲線は, , の媒介変数表示をもつ.
のとき, 点 での法線の方程式を求める.
点 と上の点 に対し, 直線が,点でのの法線であるとする.
点でのの接線は
がこの法線方向と平行であるので,
この包絡線を求める.
上の点
での法線が,求める包絡線と接する点を
とする.このとき,
それを示そう.
とする. 平面上の点 から上の点 に少なくとも4本の異なる法線が引けるとする. このような点の集合は,不等式で表される領域となる.
証明
とする. このとき,点 を通る法線となる上の点を とすると, である.
に対して, とおく.
より,これをみたすは, , に1個ずつある. それを,とする.
のとき,のも減少するので, はで正からに負に変わり,で極大,
のとき,のも増加するので, はで負から正に変わり,こので極小である.
したがって,
が異なる4つの解をもつのは
より,
,のいずれかが負であるときも,図形の対称性と不等式の対称性から, 同様の関係が成り立つ.
,のとき
平行条件は
,のときも同様である.
なら法線は軸と軸にとれ,対応する点は4個ある.はをみたす.
以上から,平面上の点から少なくとも4本の異なる法線が引ける条件が,
であることが示された.
3本引ける条件も同様に示される.
関連入試問題が2020年東大理科6番 である.
6番では,楕円は
この形に限定した最大値なので,あくまで十分条件でしかない.
のときの図は次のようになる.