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南海
行列式の定義そのままではいろんな応用に不便である.
なぜこれが逆行列の構成に役立つのかもみにくい.
これに対して,行列式を余因子といわれる小行列式を用いて展開し計算することができる.
行列のあるひとつの要素とする.
の個の項のうち,を因子にもつものをまとめ,
そこからをくくりだして,これをと書こう.
行列式のすべての項は第行の要素を1つ,そしてただ1つだけ含んでいる.
だから行列の行をとって
と表せる.これをの行目の要素による展開という.
同様に列をまとめて部分和をつくることによって,列目の要素による次の展開が得られる.
耕一
3次行列で確認します.
( )内も行列のようです.
南海
そこで,係数がどんなものであるかを調べよう.
要素を含む項はすべて次の形をしている.
つまりとなる置換で
これらからを除いたものは,符号を別にして,
もとの行列から行と列の要素をすべて取り除いて得られた小行列式の項である.
に対し
とおこう.
とを結ぶひもと交わるひもで,左から右に交わるものを本,
右から左に交わるもの本とすれば
である.よってその和は
である.
とを取りのぞいた交点数の偶奇で
が決まるので
が成り立つ.
これがすべてので成立する.
ゆえに行と列の要素をすべて取り除いて得られた行列の行列式を
とすると,
が成り立つ.つまり
という展開が成り立つ.
またのとき
である.
これは,元に戻せばはじめの行列式の行目をすっかり行目に置きかえたものになり,
2つの行が一致する行列の行列式そのものだからである.
便利な記号として
とおくと
が成り立つ.
同様に
も成り立つ.
耕一
3次行列で確認します.
です.
これで逆行列も作れます.
なので
です.
南海
ということだ.いま作った行列
のことを,もとの行列の余因子行列という.
誤植:行列のD2nに(-1)2+nが抜けています.
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