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非拡大経済

近代の資本主義をのり越えるという課題、ここに人類が直面している課題があることが明らかになる。その一方で、アメリカも、日本も、EUも中国も、時の政府や既得権層はこの基本問題を隠そう隠そうとする。問題指摘とその隠蔽のせめぎあい、それが現代である。

資本主義がゆきづまるのに応じて、一方で民族主義、排外主義が一定の勢力となる。それはつまるところ、ファシズムに至るのであるが、反ファシズム、反排外主義の運動もまた、世界大に広がっている。このような運動のなかに、資本主義をのりこえる契機が生まれている。

三年間の野党時代を経て再度政権を取った自民党は、かつての自民党ではない。アメリカのもとで軍を世界に展開しようとするファシズムの党である。もとよりマスコミもこの本質を伝えない。かつて自民党に投票してきた層が同じ考えのまま変質した自民党に投票する。金融資本と帝国はその本質として、常に最大の利益、収益、拝金主義的活動を展開してきた。こうしてアベ政治の七年半は、日本は凋落を深める一方であった。

搾取と収奪のためのあらゆる合法的方法がなくなったとき、資本主義はその維持のためファシズムを登場させる。アベ政治とその背後の日本会議などの画策することはまさにこれである。しかし、これはすでにかつてやりそして大敗北した日本軍国主義の幻影でしかない。彼らは、国家神道と軍国主義の復活を求めているが、そこにしか資本主義のとりあえずの拡大を求めることができないのであり、そこに活路はない。

戦後日本は、後追い資本主義として、資本主義的拡大を短い時間のうちに実現しようとし、同時に核兵器製造力とを保持しながら、無理して無理してやってきた。その果ての「悲惨な結末」、東電核惨事であった。

であるなら、日本においては「アメリカ産軍複合体−政・官・財癒着」の構造とその支配を打ち破り、アメリカに対して自立する、ここにしか日本列島に生きるものの活路はない。そのうえで、広島・長崎・福島を経たわれわれにとっては、アメリカから独立するかどうかの問題に終わってはならない。

資本主義のゆきつく果てとしてのアメリカの問題、つまりアメリカ問題は人類全体の問題である。原発の問題もまた、原発に依存しないエネルギーを開発して原発を止めると言うだけの問題はない。アメリカの核戦略に対して核兵器の本当の廃絶という問題である。つまり、日本において顕在化した諸問題の根拠を遡ると、アメリカの存在や核兵器の存在をそのままにして、日本だけが脱原発しアメリカから独立するという問題ではないことがわかる。



Aozora 2020-07-14