玄関>転換期の論考

■企業は内部留保を出せ 08/12/22

  派遣切り、雇い止めが止まらない。それに対して自治体などが臨時雇用を増やしたりしている。それはそれで必要なことだが、焼け石に水である。

  大企業は派遣工員や正規工員を酷使してさんざんもうけてきた。莫大な内部留保をもっている。

  キャノン:2兆9050億円、トヨタ:12兆6658億円、日産:2兆8204億円、ホンダ:5兆3629億円といった具合である(日刊現代12月19日付け)。この儲けはどこから来たのか。誰が生みだしたのか。

  企業は小泉改革という名の新自由主義のもとで、誰はばかることなく労働者を搾取し儲けまくってきた。莫大な内部留保はその結果である。派遣労働者も正規社員と同じく生産を担ってきた労働者である。ところが大企業は臨時雇用の労働者を社員とは思っていない。余れば返すだけ、と考えているのである。このようなことが合法的にできるようになったのが小泉−竹中の規制緩和である。

  内部留保の1%でも吐き出せば、当面の雇用は守られる。それが企業の社会的責任というものではないか。第一、これだけ切り捨てれば、いよいよ世の中の購買力が弱まり、かえって企業の首を絞めるだけである。

  今ほど、企業とは何のためにあるのか、経済活動とは何ためにあるのかが問われるときはない。経済活動とは、人間が人間を再生産し生き続けるためのものである。人間は一人では生きられない。組織を生みだしその下で糧を得て生きてゆく。経済活動の本質はお互い様である。企業と労働者もお互い様であらねばならない。それぞれ相手あっての話しなのである。そのことがわかっていない。

  利潤のためだけに一方的に労働者を切り捨てる企業は、いずれ歴史的に役割を終える。終えさせなければならない。