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■中東大戦争へ向かうのか 09/01/04

  イスラエルによるガザ攻撃はどこまで拡大するのか。周到に準備された今回の戦争は、ガザに対する皆殺し戦争である。しかしもとよりハマスがそれでひるむものではなく、ハマスの母体であるエジプトのムスリム同胞団は、イスラエルを利するように動いたムバラク大統領への批判を強め、このままではアメリカの傀儡であるエジプトムバラク政府が倒される。また、レバノンのヒズホラも、パレスチナ西岸地区の人民決起も、すべてがイスラエル打倒に向かう。

  このときイスラエルはイランにまで戦火を拡げる可能性がある。今回の戦争は、ブッシュ政権の終わりとともに権力の座を離れるアメリカのネオコンが最後になって、イスラエル軍部とともに仕組んだものであるといってよい。ユダヤ人は欧州のなかでナチスによる皆殺し(ホロコースト)の目に遭ったが、そのユダヤ人が欧州の外のパレスチナに対しては自ら皆殺しをおこなう。

  だが、イランのアハマディネジャド大統領が「この戦争は中東のすべてを変える」と述べたように、もしこの戦争が中東大戦争にまで拡大すれば、この戦争によって帝国アメリカはいっそう凋落し、イスラエルの国家としての存続が危機に瀕する。そのことがわかっているだけに西洋世界は何とかイスラエルをおさえようとしている。しかしその一方で、新自由主義というむき出しの資本主義が危機に面しているからこそ、イスラエルは国家存立の条件そのものとして、アラブ政界と戦争する。帝国没落の時代の戦争である。

  帝国は戦争で亡ぶ。イラク戦争が帝国アメリカを衰退させ、その結果が今秋の金融危機であったように、中東大戦争となれば帝国アメリカとイスラエルが最も大きな痛手を被る。これは歴史の法則である。だがそこに至るまでの人民の苦しみは、まったく塗炭のものである。現在のガザの状況はまず何より広く伝わらねばならない。

  来る2009年、金融危機はさらに深まり社会全体の危機となってゆくだろう。ガザの戦争は中東の大戦争に拡大する可能がある。これらはすべて、帝国が滅亡する過程そのものである。われわれはこの歴史過程を目的意識をもって生きて闘いぬくなかで、人民の団結と思想をさらに育てなければならない。