小沢民主党代表が辞任した。これは、日本に民主主義、言論の自由がないこととをふたたび示した。なぜそのように言えるのか。
小沢秘書逮捕問題の本質は、日本の進路をアメリカとの関係でどのように進めていくのかという、日本の今後の進路であった。小沢代表は「極東の米軍は第七艦隊で十分だ」と発言し、それが、今後ともアメリカに従属することで利益を得ようとする、日本の官僚機構−外務省−アメリカ従属財界の反発を招き、国策捜査となったのである。正論を言って弾圧される。戦前の特高と変わらない。
小沢代表はアメリカの傲慢さを批判し「アフガニスタンにいくら増兵してもアフガンの人々に支持されないで勝てるわけがない」、「日本はアメリカ、中国と等距離で対等につきあうべきだ」と発言してきた。そこに「極東の米軍は第七艦隊で十分だ」という小沢発言が飛び出した。駐留米軍は必要ないと言うことである。現代史をよく考えれば、いずれも至極まっとうな見解である。
オバマ大統領になってクリントン国務長官がまず日本や中国にやってきたのはどうしてか。アメリカは日本や中国に頼らなければ経済危機を乗りこえることはできない。アメリカは経済の立て直しに膨大な国債を発行しなければならない。日本と中国がこれを引き受けなければ、ドルは暴落する。引き受けてくれますかということを確認しにやってきたのだ。ところが小沢代表はクリントン国務長官にもなかなか会おうとせず冷たかった。そこで小沢秘書逮捕である。
世界はアメリカ後で動いている。世界恐慌の中でアメリカの覇権は崩壊しつつある。新しい時代に大転換しつつあり、これはもはや権力の恣意ではどうにもならない。今回の小沢辞任で、日本の対米従属派が自民党、民主党を問わず強くなるだろうが、それは日本がアメリカと心中する道である。それも避けがたいのならアメリカと日本、一緒に没落するしかない。それならとことん没落するがいい。
自民党の細田博之幹事長は12日午前の記者会見で、「(辞任の)最大の原因が政治資金規正法の違反問題にあることは明らかだ」といっているが、これは背後の勢力をかばい真実をごまかすためにいっているのである。あえていうのはおかしい、何か隠していると見なければならない。
それにしても情けないのは、まず共産党であり社民党である。権力から弾圧を受けた小沢を断固擁護しなければ野党の意味がない。それを金権体質は自民党と同じだとか、まったく本質と関係ないところで民主党批判をやっていた。権力に弾圧されたものは、まず守り弾圧を暴く。それが野党というものだ。「民主党の自民党と変わらない体質には反対だが、今回の小沢秘書逮捕の本質は、日米同盟の権力攻撃だ。だから、これには断固闘う」と言わねばならない。それが野党の守るべき仁義というものだ。
また破廉恥なのは前原をはじめとする若手の民主党員である。先頭に立って闘ってきた小沢代表が弾圧された。なら、なんとしても小沢を守り突破しなければならない。ところが彼らは小沢やめろの合唱である。民主党の支持率が落ちたのは小沢のせいではない。党首も守ろうとしない民主党若手に国民はそれでも人かとあきれたのである。
検察が意図的に情報を流し、マスコミがそれをそのまま報道し、国民がそのまま信じる。これでは戦前の報道統制である。その先はファシズムである。今の民主党の党としての力量でこれと闘えるか。できないならそれも仕方がない。この先ますます混迷である。破壊なくして建設なし。手練手管の小手先の政治家はみんな去れ、である。