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■名護市長選挙は歴史の転換点 10/01/25

名護市の市長選挙で米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古移設に反対する稲嶺氏が当選した。まずはよかった。選挙戦当初、対立する島袋現市長派の期日前投票数への動員が多く、結果がどうなるかと思われたが、開票前に早々と当選確実が出ていた。江戸時代、明治時代、そして戦中戦後沖縄が経てきた困難を思えば、私なんかが何かを言えることはないのであるが、それでも接戦の末に稲嶺氏が当選したことは、歴史の転換点であると思う。

一昨年の初秋、少しだけ沖縄へいった。名護市にある道の駅許田へ立ち寄り、そのあと本部町の丘の上にある喫茶店で食事をした。美しい海だった。昼定食の海ぶどうがうまかった。沖縄の高校日本史の副読本『琉球・沖縄史』等いくつか買ってきて帰ってから読みふけった。

民主党は普天間基地移設問題についてまだ方針を打ち出してはいない。これは前に書いたがこの問題で肝心なことは、国家の主権という問題だ。日本の土地のどれだけをアメリカ軍に貸すのかは、日本の主権の問題であり、日本政府が決めることだ。次の二点を明言すればよいのだ。 1)普天間基地は市街地に隣接し危険すぎるのでただちに閉鎖し土地を空けること。 2)日本には、現在米軍に貸している以上には、貸せる土地も、埋め立てて貸せる土地もない。この二点、まずこちらの態度を明確にすべきなのだ。そのうえで交渉する。対等な日米同盟とはそういうことであるはずだ。

民主党はこれまでに何回か沖縄ビジョンを打ち出している。2005年8月に改訂された民主党沖縄ビジョンは、一読に値する。2008年になって政権交代に備え若干論点をぼかした民主党・沖縄ビジョン(2008)になったが大きな方向は変わっていない。高校生にも批判的視点をもって読んでほしいが、私が前に書いた東アジアの交易の拠点としての沖縄、という方向性自体はが明確に書かれている。われわれが言うことではなく沖縄自身の自己決定の問題であるが。これはやはりそれしかないと思う。

先日「儲け第一の経済拡大より人間の生活を、多極化する世界のなかで日本はアメリカ一辺倒からの脱却を、それを担う政治潮流をという歴史の大勢は動かない。」と書いたばかりだが、この歴史の大勢が沖縄から現実化していゆく。後にふりかえれば、あのとき名護市長選挙で接戦の末に稲嶺候補が勝ったことが、この歴史の大勢が現実化していく第一歩だったということになる。道は曲がりくねっているが大勢は変わらない。われわれはそんな歴史の現場にいるのだ。