高校無償化で中井拉致致問題担当相が朝鮮学校を対象から外すよう求めている問題で、政府もその方向に傾きつつあると報じられている。
政府は拉致とは関係ないと強弁しているが、拉致致問題担当の中井公安委員長は、はっきりと関連を認めている。彼は今日も「現在経済制裁中であり、拉致問題が進展しない」ので朝鮮学校を無償化の対象から外すように言っている。報道にもあるように昨年暮れには川端大臣も「外交上の配慮、教育の中身が判断の材料になるのではない」と答え、文科省も朝鮮学校も支給対象とすることを想定した予算を組んでいる。それは当然である。
私は朝鮮学校を対象から外すことに反対である。国家と国家がいかなる問題をかかえていようとも、それぞれの民族の教育権は守られなければならない。もし経済制裁中であることをもって、在日朝鮮人子弟の教育権を他の外国人子弟の教育権とわけ、朝鮮学校だけ無償化の対象から外すことが認められるなら、北朝鮮による拉致を批判する根拠がなくなる。日本と北朝鮮は戦後処理が終わっておらず戦争状態のままである。しかしにもかかわらず拉致は人間の基本的な権利の侵害として認めないし、被害者を帰せと言ってきたはずだ。それが崩れる。
「(日本政府が)北朝鮮に制裁を行っていることを十分考えて欲しい」と、除外を要請するような人間が拉致問題を担当しているかぎり、この問題はいつまでも解決しないだろう。もしここで朝鮮学校を対象から外すことになれば、日本政府は拉致問題を基本的な人権の問題として取り組んできたのではなく、拝外主義的に北朝鮮への敵意をあおるために利用してきたのだということになる。中井公安委員長は馬脚を現しているというべきだ。民主党政府が問われている。
三月三日追伸:大阪府の橋下知事がもっと率直に「高校無償化、拉致と切り離すことできない」と言っている。政府が拉致とは関係ないと言い逃れをしても本音がどこにあるか正直に言っている。今の日本は排外主義が蔓延している。時代に閉塞感が漂うとき、そのもとで鬱屈した気持ちを少数者にむけるのだ。先日はスイスでもイスラム建築を認めないという国民投票が賛成多数だった。欧州は二〇年くらい前から排外主義がふくらんできていた。日本でも最近行動的な拝外主義が出てきている。橋下知事はそういう世の雰囲気に迎合して支持を増やそうとしているのだ。
拉致問題は,未だおこなわれていない戦後処理の問題として,日本の問題強制連行の問題と同時に解決する、この基本を日本が打ち出さないかぎり解決することはありえない。