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はじめる

はじめ(始める)[hajimeru]←[fa]-[simeru]

◯「は(端)をしめる(占める)」の複合から連音が濁り「はじめる」になった。「をふ(終わる)」の対義語。

◆ものやことの端を占め、そこから次々とその区域を持続的に拡大すること。場所や区画から、さらに時間についても、また何かの現象についても、用いる。

▼もののはじまり。 ▽新しく事を起こす。あらたにやり出す。開始する。発足させる。創始する。 ◇新生活を始める。 ◇『万葉集』四〇九四「わご大君の 諸人を誘ひ給ひ 善き事を 始め(波自米)給ひて」

▽端から広がる。 ◇『万葉集』二二一一「妹が紐解くと結びて立田山今こそ黄葉はじめてありけれ」

▼ことのはじまり。 ▽最初とする。事が起こるもととする。起因とする。 ◇『万葉集』五二「やすみしし わご大王高照らす 日の皇子 荒栲(あらたへ)の 藤井が原に 大御門 始め給ひて」 ◇『平家物語』二「みだりがはしきうったへ仕る事、今にはじめずと申しながら」

▽いくつかのうち、主たるものとする。第一のものとする。いくつかのものを列挙する場合にいう。 ◇『竹取物語』「親をはじめて、何とも知らず」

▽動詞の連用形に付けて、その動作をやりだすことを表す。…し出す。 ◇書きはじめる。作りはじめる。」「泣きはじめる」など。

−【はじめ(初め、初め)】「はじめる」の連用止め名詞。

▼展開していったその端。両端としては「終わり」「あと」に対し、また「なか」にも対応する。

▽物事の起こり。原初。物事の生成の発動、また、その時期。発生。 ◇『御巫本日本紀私記』−神代上「開闢之初安女津知乃比良久留波志女(あめつちのひらくるハシメ)」

▽新しく事を起こすこと。また、その位置、時期。開始。切り出し。端緒。 ◇『伊勢物語』七八「宮づかへのはじめに」

▽時間的推移における最も早い時期。初期。初頭。 ◇年のはじめに決意を新たにする。 ◇『万葉集』四一三七「正月たつ春の波自米(ハジメ)に」

▽最初。先。以前。 ◇はじめが肝心。 ◇『伊勢物語』二三「はじめこそ心にくもつくりけれ、今はうちとけて」

▽物事の起こるみなもと。おおもと。本源。根源。本主。 ◇『御巫本日本紀私記』神代上「有一雌元之処比止津乃三乃波志女乃止古呂安利(ひとつのみのハシメのところあり)」

▽物事の序列の第一。いくつか列挙するうちの、第一に主だったもの。 ◇イギリス、フランスをはじめとする西洋諸国 ◇『源氏物語』帚木「あまり情にひきこめられて、とりなせばあだめく。これをはじめの難とすべし」

▽ひと続きのものの最初の部分。表現の首部。書き出し。緒言。前口上。前半。最初の部分。 ◇『平家物語』八「既に十番競馬はじまる。はじめ四番、一宮惟喬親王かたせ給ふ」