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うつ(打つ)

うつ(打つ、撃つ、討つ、搏つ、撲つ、拍つ、伐つ)[utu]←[wutu]

◯もののおもてを、棒などのものでたたく。

◆ものの表面を棒や拳でたたくこと。

※タミル語<putai>由来。

▼物に物を強く当てる。また、たたくような動作をする。強く刺激を与える。たたく。ぶつ。ぶつける。

▽鞭(むち)、杖、手などでたたく。 ◇『万葉集』三五三六「赤駒を宇知(ウチ)てさを引き心引き」

▽雨、風、波などが強くうちつける。 ◇「雨に打たれる」 ◇『古事記』下・歌謡「笹葉に宇都(ウツ)や霰(あられ)の」

▽火を出すために、火打ち石をたたく。 『貫之集』八「をりをりにうちて焚(た)く火の」

▽楽器や手を鳴らす。 ◇「鐘(太鼓・柝)を打つ」 ◇「舌鼓を打つ」 ◇『源氏物語』玉鬘「この女の、手をうちて」 ◇『続日本後紀』承和九年八月甲戌「天には琵琶をそ打なる」

▽つやを出すために、砧(きぬた)で衣をたたく。また、柔らかくするために、藁(わら)などをたたく。 ◇『枕草子』二七八「葡萄染(えびぞめ)の織物の直衣、濃き綾(あや)のうちたる、紅梅の織物など」

▽球戯で、球をたたいて飛ばす。 ◇「打ったのはカーブ」

▽製品を作るために、材料を鍛えたりして手を加える。金属を鍛えて、刀剣などを作る。 ◇『日葡辞書』「カタナヲウツ」 ◇「面を打つ」

▽金属をたたいて延ばす。 ◇『太平記』一四「金銀にて打て著けたる月日の御紋」

▽田畑を掘り返す。耕す。 ◇『古事記』下・歌謡「木鍬(こくは)持ち宇知(ウチ)し大根(おほね)」

▽しるしを付ける。銘を刻む。 ◇「ふりがな(疑問符)を打つ」 ◇『徒然草』一六三「太衝(たいしょう)の太の字、点うつ、うたずといふ事」

▽(キーをたたくところから)電報を発信する。 ◇「祝電をうつ」

▽(鐘、太鼓をたたいたり、時計が打ったりして)時を知らせる。 ◇「十時を打つ」

▽心や感覚器官に強い刺激を与える。 ◇「心をうつ」 ◇「胸をうたれる」

▼たたいたり、はったりして、ある物を安定させる。また、ある状態に作りあげる。

▽くぎ、くいなどを、たたいて入れこむ。 ◇『古事記』下・歌謡「上つ瀬に斎杙(いくひ)を宇知(ウチ)」

▽しっかり付け加える。 ◇『万葉集』八九七「重き馬荷に上荷(うわに)打(うつ)といふことのごと」

▽桟敷(さじき)、梁(やな)などを構え作る。 ◇『万葉集』三八七「いにしへに梁打(うつ)人の無かりせば」

▽ひも、縄、むしろなどを編む。組む。*日葡辞書「ムシロヲvt輹(ウツ)」 ◇『日葡辞書』「ヲヲvt輹(ウツ)」

▽罪人に縄をかけたり、枷(かせ)をはめたりする。 ◇「縄を打つ」

▽型に流し込んで固める。 ◇「コンクリートをうつ」

▼手や道具を用いて遠くへ飛ばす。投げる動作で、あることを行なう。 ▽投げる。放つ。発射する。また、当てて傷つける。 ◇「安打を打つ」 ◇『日葡辞書』「ツブテヲvt輹(ウツ)」

▽当てて傷つけて殺す。 ◇『宇津保物語』蔵開中「かうじを一つなげて、大将をうつ人あり」

▼武器などで、傷つけ倒す。たたいたり切ったりして傷つけ殺す。 ◇『古事記』中・歌謡「頭椎(くぶつつ)い石椎(いしつつ)いもち宇知(ウチ)てし止まむ」

▽攻める。攻め滅ぼす。 ◇「敵をうつ」

▽たたき切る。切りとる。 ◇『万葉集』三四七三「佐野山に宇都(ウツ)や斧音(をのと)の遠かども」

▼時機を失しないである事を行なう。すばやく動作する。 ▽碁(ご)、すごろくなどの遊戯をする。 ◇『古今集』九九一「まかり通ひつつ碁うちける人のもとに」 ◇『源氏物語』常夏「すぐろくをぞうち給ふ」

▽ばくち、遊びにふける。 ◇『徒然草』一二六「ばくちの負きはまりて、残りなく打ち入れんとせんにあひては、うつべからず」

▽ある手段をとる。 ◇「逃げをうつ」 ◇「ストをうつ」 ◇「打つ手がない」

▽急激にひっくり返るような動作をする。 ◇「もんどりをうつ」 ◇「寝返りをうつ」

▼繰り返される動作、状態を示す。 ◇「脈(波)を打つ」 ◇「心臓(動悸)がうつ」 ◇「頭痛(頭)がうつ」