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かお

かお(顔)[kao]←[kafo]

◯[kafo]は「買う」[kafu]などと[kaf]を共有する。また貝[kafi]も同じ。つまり、交易に係わる一連のことばである。交易は協働体の間でなされた。括る[kukuru]の主体が心[kokoro]であるように、「買う」[kafu]の主体が[kafo]である。つまり協働体で交易を代表するもの、これが「顔」である。次のような例にその跡がある。

◆成員としての人格。それを表すものとしての頭部の前面。それに対して、集団を代表しない個別の人格を表すときは「面(おもて)」という。

※タミル語<kavul>起源。

▼目、口、鼻などのある、頭部の前面。つら。おもて。容貌。表情 ◇かおかたち。かおだち。顔つき。顔いろ。 ◇『日本書紀』神代「良(やや)久しくして一(ひとり)の美人(おとめ)有り。容貌(かほ)世に絶(すぐ)れたり」 ◇『万葉集』三四一一「多胡(たご)の嶺に寄せ綱延(は)へて寄すれどもあにくやしづしその可抱(カホ)良きに」 ◇『竹取物語』「大臣これを見たまひて顔は草の葉の色にて居給へり」 ◇『伊勢物語』九九「女のかほの下簾よりほのかに見えければ」

▼物の表面。また、一部分だけが外に見えているもの。 ◇顔を出す。 ◇『源氏物語』須磨「月のかほのみまもられ給ふ」

▼成員としての人。列座する予定の人。体面。 ◇顔役。顔がきく。 ◇かおぶれ。顔役。 ◇『竹沢先生というひと』長与善郎「自分の好きな二三の顔をそろえたその会によって」 ◇『二人女房』尾崎紅葉「それくらいの顔になれば、なまじ小官員よりどれほどよいか知れはしません」 ◇『こヽろ』夏目漱石「『御父さんの顔もあるんだから』と母が又付け加えた」