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かく(欠く)

かく(欠く、缺く、闕く)[kaku]

◯あるべきものがなく、真でないこと。

◆本来備わっているべきものがない、またその状態にすること。「みつ(満つ)」の対義語。

▲他動詞 ▼物の一部分をこわす。また、一部分を削り減らす。 ◇「花瓶の口をかく」 ◇『万葉集』三二三六「千歳に 闕くる事無く 万歳に あり通はむと」

▽不足する。欠如する。「勇気(情熱)を欠く」 ◇『西大寺本金光明最勝王経平安初期点』六「日と月と星宿と常の度において虧(カク)こと無けむ」 ◇『大唐西域記長寛元年点』一「釈迦菩薩弱齢なっしとき恂(カイ)たまへる歯あり」

▽そろっているはずのもの、続くはずのものの一部を抜かす。 ◇『蜻蛉日記』上「四十九日のこと、たれもかくことなくて、家にてぞする」

▽ぬかしておろそかにする。 ◇「義理を欠いてしまった」 ◇『徒然草』一七五「おほやけ・わたくしの大事をかきて、わづらひとなる」

▲かける(欠ける・缺ける・闕ける):自動詞

▼物の一部分がこわれる。一部が削られて取れる。

▽太陽や月の一部が見えなくなる。 ◇『西大寺本金光明最勝王経平安初期点』八「日月も蝕(カケ)て光り無けむ」

▽度合、数量などが減って十分でなくなる。 ◇「目方が欠ける」 ◇「熱意(能力)に欠ける」 ◇『徒然草』一二二「文・武・医の道、誠にかけてはあるべからず」

▽条件を満たさない。 ◇「この仕事に適性を欠く」

▽そろっているはずのもの、続くはずのものの一部が抜ける。 ◇「五人兄弟の一人が欠けた」 ◇『徒然草』八二「章段のかけたる事」