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から(殻)

から(殻、骸、空、涸、枯、虚)[kara]

◆貝などの動物や、草木の実などの外部をおおっている固いもの。中身を取り去ったあとに残る固い皮。そこから、水分、生命が失われたもの。魂の抜けたものをいう。そのからに覆われた中空が、しかし新たな魂の籠もるところとなる。

※タミル語が入る以前からの古い言葉。

▼外部をおおっている固いもの。 ▽虫の抜け殻。 ◇『源氏物語』総角「かくながら、虫のからのやうにても見るわざならましかば、と思ひまどはる」 ◇『古今集』四四八「空蝉のからは木ごとにとどむれどたまのゆくへを見ぬぞかなしき」 ◇『古今集』八三一「空蝉はからを見つつもなぐさめつ」

▽魂の抜けたあとにのこるからだ。なきがら。 ◇『源氏物語』夕顔「なほ悲しさのやる方なく、ただ今のからを見では、またいつの世にかありし容貌をも見む、と思し念じて」 ◇『古今集』一一〇二「からは焔となりにしものを」

▽比喩的に用いて、自分の世界を守る外壁やその世界をいう。 ◇「からにとじこもる」「からを破る」 ◇『観智院本三宝絵』上「貝の柄を取て海の水を汲むと誓ふ心の実となるに」 ▽『徒然草』六九「豆のからを焚きて」

▼魂の抜けた状態。中味のなくなった状態。 ◇「コップがからになる」「石油がからになった」「頭がからだ」「家をからにする」

▼名詞に冠して用いる。 ◇『古事記』上「静山は枯れ山の如く泣き枯らし」 ◇「から身」「から手」「から脛(すね)」 ◇『源氏物語』夕顔「気色ある鳥のから声に鳴きたるも梟はこれにやとおぼゆ」 ◇「から元気」「から威張り」