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かみ

【かみ(神、髪、守、紙)】[kami]

■[kam-u]の内容を名詞化する。集団としての[ka]を結ぶ[mu]([mi])もの。[ka]と[mu]をさらにもとに戻って分解すると、[ka]つまり「アリカ」や「スミカ」の「カ」と同じく人が働く根拠としての場とそれを成り立たせている(結ぶ)もの、つまり協同体をまとめるはたらきそのもの、これが「かみ」の基層の意味である。「髪」は髪の形が属する集団を表していたことに関わり、「紙」は戸籍に関わるから「かみ」といわれる。人が、もののはたらきを「こと」としてとらえるとき、それを可能にしているはたらきをいう。

□タミル語<koman>起源。

◆協働体を可能にしている根拠。さらに人間を可能にしている根拠。

▼人が、天地万物に内在しそれを差配していると考える存在。 ◇『万葉集』三六八二「天地(あめつち)の可未(カミ)を祈(こ)ひつつ我待たむ」 ◇『万葉集』五六一「思わぬを思ふといわば大野なる三笠の杜の神し知らさむ」 ◇『万葉集』四〇六「丈夫(ますらを)に憑きたるかみそよくまつるべき」

▽人の力を超えたおそろしいものとしての、雷、猛獣、山。 ◇『万葉集』三四二一「伊香保嶺にかみな鳴りそね」 ◇『枕草子』九九「神いとおそろしう鳴りたれば」 ◇『万葉集』三八八五「韓国(からくに)の虎といふ神を」 ◇『万葉集』三八八四「伊夜彦神のふもとに」(弥彦山の麓に) ◇『古事記伝』一の巻、本居宣長「凡て迦微(かみ)とは、古の御典(みふみ)等にも見えたる天地の諸々の神たちを始めて、其の祀れる社に坐す御霊をも申し、又人はさらにも云わず、鳥獣木草のたぐい海山など、其の余(ほか)何にまれ、尋常(よのつね)ならずすぐれたる徳(こと)のありて、可畏き物を迦微とはいうなり」

▼日本国形成時に、天皇家の祖先とされた人格神。また其の国家の下で体系化された人格神。 ◇『日本書紀』神代「是に左の目を洗ひたまふ時になれる神の御名は天照大神」 ◇『古事記』上「高天(たかま)の原に成りませる神の名は」 ◇『万葉集』二三五「大君は神にしませば真木の立つ荒山中に海を成すかも」



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