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とし

【とし(年・歳)】[tosi]

■[tosi]の[to]は「田[ta]の本質、田の意義」であり、「とみ(富)」「とよ(豊)」の[to]などが同根の「みのり」を意味する。[si]は行為の[su]によってもたらされるものであり、「とし」は元来、穀物を意味した。穀物の一回実る期間が一年に相当するところから「年」を意味するようになった。

▼五穀、特に稲。また、その耕作、収穫、作柄など。 ◇『万葉集』四一二四「わが欲りし雨は降り来ぬかくしあらば言挙げせずとも登思(トシ)は栄えむ」 ◇『新勅撰』冬・四一〇「あらはれてとしあるみ世のしるしにや」

▼時間の単位、暦の年 ◇『古事記』中・歌謡「あらたまの登斯(トシ)が来経(きふ)れば、あらたまの月は来経(へ)ゆく」 ◇『万葉集』八三〇「万世に得之(トシ)は来経(きふ)とも梅の花絶ゆる事無く咲き渡るべし」 ◇『源氏物語』桐壺「この御子三つになり給年、御袴着のこと<略>いみじうさせ給ふ」 ◇『古今和歌集』一「年の内に春はきにけり」

▼年齢 ◇『古事記』中「凡そ此の神倭伊波礼毘古天皇の御年、壱佰参拾漆歳」 ◇『浮雲』「芳紀(トシ)も若くって且つ婦人の身でゐながら稽古してお出なさる」 ◇『硝子戸の中』「母はこんな年齢(トシ)」をして懐妊するのは面目ない云ったとかいふ」



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