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はれ

【はれ(晴れ、霽れ)】】[fare]

■[fa]はh行がこの世界の「は(端)」を意味し、a段がこの世界の外からきて現れることで、[ru]はそれを実現すること。ふさがっていたものが無くなり、開け放たれて広々となること。[far]は「はるく(晴)」「はれる(晴)」「はら(原)」などの[far]と同源。

▼雲や霧が消えてなくなる。また雨や雪があがる。 ◇晴のち曇 ◇『万葉集』二二二七「天雲はれて月夜さやけし」

▽物思いや悩みが解消すること。 ◇『古今集』九三五「晴れずのみ思い尽きせぬ世の中の憂さ」 ◇『海道記』「雲に舞鶴の声、晴の空をしる」

▽疑いが無くなること ◇彼の容疑は晴れた。

▼晴れたところ。日の当たるところ。日なた。 ◇『今昔物語』一〇・一〇「晴に出でて蔭を離れむと走る時には」

▽さえぎるものがなく広々とした所。また、晴れやかな所。人なか。公衆の面前。まばゆいばかりであること。晴れがましいこと。 ◇晴れの場所。晴れと着飾る。 ◇晴れの着物。晴れ着。(また、それを着た姿、様子)晴れ姿。 ◇『源氏物語』須磨「居給へるさま、さるはれにいでて、いふよしなく見え給ふ」 ◇『栄花物語』もとのしづく「かかりけるはれのことに、さるべき用意あるべかりけるものを」

▼「け(褻)」の対語。日常と違うあらたまった場所や状態。正式の場所。公の席。よそいきなこと。 ◇『源平盛衰記』四〇「一門の月卿雲客、今日を晴れときらめきて」 ◇晴れ舞台。

※日常の生活が「け(褻)」。そのなかに、外からの來訪があってもてなすのが「はれ」。祭りは神を迎えてのもてなし。

−【はればれしい(晴れ晴れしい)】はれた様子。すっかり晴れるさまを表す語。心のわだかまりがとれてさっぱりするさまを表す語。中世以降は「晴れ晴れ」と副詞で使うことが多い。 ◇『日葡辞書』「テンキガfarebareto(ハレバレト)ナッタ」 ◇はれやかに。晴れ晴れした顔だなあ。 ◇『枕草子』二九二「今朝まではればれしかりつる空ともおぼえず」 ◇『源氏物語』藤裏葉「おもひ屈しつる命も、のべまほしう、はればれしきにつけて」 ◇『狹衣物語』三「例ならず、はればれしき御しつらひに」 ◇『源氏物語』椎本「御心もて、はれはれしく、もて出でさせ給はばこそ、罪も侍らめ」 ◇『狹衣物語』一「小さき御几帳も押し遣られて、いとはればれしければ」 ◇『源氏物語』東屋「こぼちし寝殿、こたみは、いと、はればれしう造りなしたり」



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