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にっぽん

【にっぽん(日本),「にほん」ともいう】

東アジアの列島に存在する国家の名称。国家の名称であることを明確にするためには「日本国」という。西暦2000年の時点におけるこの国家の権力は、本質的に1868年の明治維新革命によって東アジアの列島に成立した資本主義国家の体制と権力をを継承したものであり、この国家の憲法として1946年に成立した「日本国憲法」によって国家の名称としての「日本」も継承した。

明治維新革命とは、一九世紀後半江戸幕藩体制を倒し、代わって近代統一国家とこれを支える明治新政権を形成した一連の政治的社会的革命である。この明治維新で成立した国家は国家名称として「大日本帝国」を採用した。

「日本」という名称そのものは、645年のいわゆる「大化改新」を経て成立した新政権が、自らの国家の名称としてはじめて用いた。意味は「日の本」つまり「日の昇る地」という意味であり、それは中国から見てのことである。「日本」に居れば、そこは日の昇るところではない。つまり「日本」は中国を座標軸の原点とする名称である。以降、しだいに「ニホン」「ニッポン」と音読するようになった。呉音の字音よみとして、まず「ニッポン」と発音されたものが、しだいに促音を発音せずやわらかな「ニホン」に変わっていき、両方がそのまま使われた。今日に至るも統一した発音は定まっていない。

■「日本」という名称はこれ以上でも以下でもない。 ◇「縄文時代の日本」は誤用である。その時代に日本はなかった。 ◇「日本の美」「日本文化」は虚構である。 ◇「単一の日本民族」、「単一の言葉・日本語」も事実に反する虚構である。

「日本」という統一的な内実があるとするこのような虚構は、「大化改新」を経て成立した新政権が自らの正統性を示すために作りだしたものであり、その後の「日本国」に住む人間の考え方に大きな影響を残し、今日に続いている。彼らは「古事記・日本書紀」をとおして自らの政権の根拠が列島の内部にあるとする物語を作った。実際は、四、五世紀、東アジア全体が大動乱にあった五胡十六国の時代に様々の支配者がこの列島にやってきて、激しく闘い交代した。その前史を経て列島中央部に成立した「倭」政権がさらに内乱を経て645年のいわゆる「大化改新」でようやくに統一された。これは中国大陸がすでに動乱期を経て統一されているという背景のもと、東アジア全体の動乱が收束する過程の後期におこなわれた。統一新権力は「万世一系」の虚構を作り、「日本」を社会的文化的同一性もつものとし、その同一性の体現者としての「天皇」をおくことによって、その後長く続く強固な支配体系を作りあげた。

二十一世紀を迎えた今日、この虚構を再編し強化しようとするものと、事実として虚構であることに立脚して新しい人間の関係を築こうとするものとが、せめぎ合っている。

生活と一体となった自然環境を破壊し「青い空、白い雲」を奪い、田を荒し森林をつぶし、干潟を干しあげ埋め立てたのは誰か。人心を荒廃させたのは誰か。それは「日本という同一性の虚構、同一性の体現者としての天皇」に依拠して支配体制を維持してきた「弱肉強食・拝金主義」の日本国そのもではないか。これが事実であるということが明らかになってきている。

この日本国に奪われた百姓(人民)の生活を取りもどすことは二十一世紀の課題である。


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