を自然数,を次多項式とする. が整数ならば, すべての整数に対し,は整数であることを証明せよ.
方針
解法1
命題: 次多項式において, に対して が整数ならば, すべての整数に対しは整数である.が に対して成立することを,に関する数学的帰納法で証明する.
のとき.とおく.が整数なので, 任意の整数に対しては整数である.
に対して命題が成立するとし,のときの成立を示す.
とおく.
とおく.
は次以下で
任意の整数に対してが整数であることを示す. なら条件から整数.
のとき.とおくと
解法2
0以上の整数 に対し
0以上の整数に対し,
次多項式 は適当な実数
を用いて
のとき. とすると なのでで となる.
以下のとき成立しているとする.
の の係数を とする. とおく.このとき
以下,はのように表されているとする. の範囲のに対してがすべて整数のとき, が整数であることを数学的帰納法で示す.
よりは整数.
のときであるから整数に対して
このとき,任意の整数に対してが整数であることを示す.
なら条件から整数.
なら
なので
のとき とすると
解法3
次多項式の個の値 を用いて次式を
とは 個の相異なるの値 において同一の値 をとる. 両式ともの次式であるから, は恒等式である.
よっての右辺はそのものである. のこの表示を用いて, のに対してが整数のとき, のに対してもが整数であることを示す.
そのためには各項 に を代入した値が整数であればよい.
のとき.
吟味
解法2は
解法2の証明をよく見れば,
(1)の条件: 連続整数で が整数値を取ること
(2)の条件:
がすべて整数であること
の同値性を直接示すこともできる.