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事象の分解[05京大後期理系]

問題     

$n$枚の100円玉と$n+1$枚の500円玉を同時に投げたとき,表の出た100円玉の枚数より表の出た500円玉の枚数の方が多い確率$p_n$を求めよ.


方針

1.
直接計算をする.この場合, 二項係数 ${}_n\mathrm{C}_k$の性質を使いこなし, かつ数列の和にも工夫がいる.
2.
直接計算であるが,余事象の確率の式との関係を導く.
3.
試行の分析によって,確率の意味から答を導く.


解1

100円玉が$j$枚表になったときは,500円玉が$j+1$枚以上表になればよい. したがって

\begin{displaymath}
p_n=\sum_{j=0}^n{}_n\mathrm{C}_j\left(\dfrac{1}{2}\right)^n
...
..._j
\left(\sum_{k=j+1}^{n+1}{}_{n+1}\mathrm{C}_k\right)\right\}
\end{displaymath}

ここで

\begin{eqnarray*}
\sum_{j=0}^n{}_n\mathrm{C}_j
\left(\sum_{k=j+1}^{n+1}{}_{n+1}\...
...&\left(\sum_{j=0}^n{}_n\mathrm{C}_j\right)^2
=\left(2^n\right)^2
\end{eqnarray*}


\begin{displaymath}
∴\quad p_n=\dfrac{1}{2}
\end{displaymath}

解2

余事象は、100円玉が$j$枚表になったとき,500円玉で表であるものが$j$枚以下になればよい. したがって

\begin{eqnarray*}
1-p_n&=&\sum_{j=0}^n{}_n\mathrm{C}_j\left(\dfrac{1}{2}\right)^...
...left(\sum_{k=i+1}^{n+1}{}_{n+1}\mathrm{C}_{k}\right)\right\}=p_n
\end{eqnarray*}


\begin{displaymath}
1-p_n=p_n\quad ∴\quad p_n=\dfrac{1}{2}
\end{displaymath}

解3

500円玉を一つ固定する.

1回の試行で,この500円玉が表,裏である結果を「表」,「裏」と表す. また,$n$枚の100円玉と残る$n$枚の500円玉の表の枚数を$M$$N$とおく. 試行のすべての結果は次の6通りに場合分けされ,それぞれ事象を定める.

\begin{displaymath}
\begin{array}{l}
(表,\ M>N),\ (表,\ M=N),\ (表,\ M<N)\\
(裏,\ M>N),\ (裏,\ M=N),\ (裏,\ M<N)
\end{array}\end{displaymath}

事象の確率を$P(事象)$で表すと,100円玉と500円玉の表裏の出る確率はすべて等しいので

\begin{displaymath}
P(M>N)=P(M<N)
\end{displaymath}

である. また固定された500円玉の表裏は,他の硬貨の表裏と独立なので,

\begin{displaymath}
P(表,\ M>N)=\dfrac{1}{2}P(M>N)
\end{displaymath}

などが成り立つ.これより

\begin{displaymath}
\begin{array}{l}
P(表,\ M>N)=P(表,\ M<N)=P(裏,\ M>N)=P(裏,\ M<N)\\
P(表,\ M=N)=P(裏,\ M=N)
\end{array}\end{displaymath}

これら6個の事象の確率の和は1で,

\begin{eqnarray*}
&&P(表,\ M<N)+P(裏,\ M<N)+P(表,\ M=N)\\
&=&P(表,\ M>N)+P(裏,\ M>N)+P(裏,\ M=N)
\end{eqnarray*}

ある.ゆえに

\begin{displaymath}
p_n=P(表,\ M<N)+P(裏,\ M<N)+P(表,\ M=N)=\dfrac{1}{2}
\end{displaymath}

である.

解4



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