正像法では次のように実際の値域の必要条件から考える.
逆像法での別解は次のように変数の存在条件から求める.
のとりうる範囲はとなる実数 が存在する範囲,である.
より
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第一の方法を「正像法」,第二の方法を「逆像法」と呼ぶことが多い. これを「順手法」「逆手法」という人もいるが,第二の方法が論理的には大切なのに 何か「裏技」のような印象の言葉なので私は使わない. 「正像法と逆像法」はもちろん次のような通過領域で用いることが多い.
問題
平面上の直線がある. が を動くとき, この直線が通過する 平面の領域を求めよ.
方針
解1
を固定し,各 に対して がとりうる範囲を で表す.
その範囲は右辺を の2次関数と見たときの軸 の 位置で場合分けし,最大最小を求めれば定まる.
右辺の の2次関数を と置く.
解2
点 が通過領域にあるということはとなる が
に存在することと同値である.
と置く.
を の2次方程式 の判別式とすれば,
求める条件は次のいずれかがなり立つことである.
吟味
場合分けの仕方が違うがいずれも図示すれば同じものになる.
このように正像法と逆像法は,簡単なときはどちらでも同じことだ.論証としては媒介変数の 存在条件から求める逆像法が論述しやすいが,関数が簡単にならないときは実際に実行するのは 難しくなる.その例が『数学対話』「包絡線」にある. 正像法は考えやすいが,条件が複雜なときに厳密に求めるのが難しいときがある. 双方をよく理解した上で,使い分けることが大切だ.