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問題
を実数,を自然数とする.このとき
が成立することを示せ.
方針
-
- 1.
- 数学的帰納法.
- 2.
- 直接の変形.
- 3.
- コーシー・シュワルツの不等式.
- 4.
- という下に凸な関数を用いる.
解1
任意の実数
と,自然数に対し,不等式
が成立することを数学的帰納法で示す.
のとき.
は
となり,成立.
のとき命題が成立するとする.
のとき.
数学的帰納法の仮定から
なので,のときもは成立する.
かつでの等号成立が
のときであることも示された.
□
解2
直接示す.
和
では,どの文字もちょうど回ずつ現れる.
したがって
である.つまり
等号成立は
のとき.
□
解3
を実数の変数にとり,2次式を
とおく.
である.任意の実数値に対してであるから,その判別式はである.
より
が示された.等号成立は,つまりとなる実数が存在するときである.
よって
となる実数が存在するときである.これは
となる実数が存在するときである.つまり
等号成立は
のとき.
□
解4
である正の数と,実数に関して
実際,
である.ここで等号成立はのときである.また
そこで,この不等式の成立と
等号成立が
のときであることを,
についての数学的帰納法で示す.
のときは
で成立する.
で成立するとする.のとき
等号成立は
かつ
,つまり
のときである.
よってのときも成立し,すべてので成立した.
□
吟味
この問題の不等式は,コーシー・シュワルツの不等式と,凸関数の不等式の両方の性質をもつ不等式である.それぞれの方向に一般化することができる.
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