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推測して数学的帰納法

例から考え,推測したことを証明する典型は, 漸化式と$a_1$ が与えられたときに, $a_2,\ a_3,\ \cdots$ の値を実際に求めて, それから一般項 $\{a_n\}$ を推測し, それを数学的帰納法で示すのと同じだ. 「数学的帰納法」 は自然数に関する性質についての命題を 自然数の性質を根拠に示す 間接証明の一つである. 直接証明が難しいときに用いる決定的な方法である.

そして,「推測してから間接に証明する」というのは 何も自然数に関することにかぎらない一般的な考え方である.

そこで,直前の例題2.16である. 1と$-1$のいろいろな数列を作り結論が推測できたとする. これを数学的帰納法で示してみよう.

解2

推測の結論2.7が成立することを, $n$についての数学的帰納法で示す.

$n=1$のとき.

\begin{displaymath}
b_1=\dfrac{1}{2} \left(a_1+a_1 \right)=a_1
\end{displaymath}

であるから,$a_1=1,\ -1$に応じて

\begin{displaymath}
\{b_1\}=\{1\},\ \{-1\}
\end{displaymath}

となり2.7は成立する.

$n$のとき成立するとする. $n+1$のときにも成立することを示す. $a_{n+1}$を新たに加える. $b_1,\ \cdots,\ b_n$ $a_1,\ \cdots,\ a_n$で決まる.

$a_{n+1}=1$のとき.1が$m+1$個,$-1$$n-m$個である. したがって$b_{n+1}=m+1$を示せばよい.ところが

\begin{eqnarray*}
b_{n+1}
&=&\dfrac{1}{2} \left((n+1)a_{n+1}+\sum_{j=1}^{n+1}a_j \right)\\
&=&\dfrac{1}{2} \left\{(n+1)+m-(n-m)+1 \right\}=m+1
\end{eqnarray*}

$a_{n+1}=-1$のとき.1が$m$個,$-1$$n-m+1$個である. したがって $b_{n+1}=-(n-m+1)$を示せばよい.ところが

\begin{eqnarray*}
b_{n+1}
&=&\dfrac{1}{2} \left((n+1)a_{n+1}+\sum_{j=1}^{n+1}a_j...
...ht)\\
&=&\dfrac{1}{2} \left\{-(n+1)+m-(n-m)-1 \right\}=-(n-m+1)
\end{eqnarray*}

よって$n+1$のときにも成立し,2.7は成立する. □



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