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個別と一般

個別と一般という場合,個別とは一般的な場合の実例である. また,一般とはここの実例から帰納的に推測される一般法則である.

抽象的な問題,一般的に自然数$n$ について証明する問題などでは, 例を作って考えることが問題をとらえるうえで大変有効だ. というより,もともと数学とは, いろんな実例の中からそれらの本質をとらえて, 一般的な性質が成立することを証明するものである. 実例の論証から一般的な論証の見通しを得る.

それは科学の方法の第一のものだ. こうではないかという仮説を立てる.これは一般の場合の推測だ. それを個別実験で確かめる. 科学の方法は実験だ.実験とは例を調べることである. 実験で大切なことはそれがどれだけ一般化できるかということだ. 実験でまちがいないとなると,なぜそれが成り立つのか理論を追求する. これは数学の問題を解くときにもいえることだ.

入試問題では,はじめの方の小問で具体的な例を考えさせ, 後でその一般化を問う,という形でつねに出される. このような場合に大切なことは,後に一般的な場合に証明することに備えて 個別の場合をできるだけ一般的に証明する,ということだ.



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