次: 問題と考え方
上: 必要と十分
前: 推論とは必要条件による限定
このようにある程度複雑な論証では,
必要条件で範囲を絞り,
それぞれについて十分性を吟味するということが重要である.
しかしまた,問題をよく分析することで,
はじめから必要十分な条件を引き出すこともできる.
次の例題を二通りの方法でやってみよう.
例題 1.9
[05大教大]
解法1
-
がともに整数なので,
すべての整数でが整数となるためにとが整数となることが必要である.
逆にこのとき,
任意の整数に対しては整数であるのでこれは十分条件でもある.
-
が整数となる.
これから,
,
が整数となるので,
が整数となることが必要である.
十分条件であることを示す.
とおくと
,
より
となる,整数に対し
は整数なので,
すべての整数に対しは整数となることが示された.
- 同様に
が整数である.これから
,
,
が整数である.
よって
,は整数であることが必要である.
十分条件であることを示す.
とする.
,
,
なので,
整数に対し
は整数なので,
すべての整数に対しは整数となることが示された.
解法2
- 一般に,
整式がすべての整数に対して整数値をとるための必要十分条件は,
が整数であり,
かつ階差がすべての整数に対して整数値をとることである.
よってのとき
である.
- 同様に
のとき
である.
- 同様に
をのとき
(上2行目 「3dx2」を「3dx3」に訂正).
である.
Aozora Gakuen