次: 絞って調べるか,同値変形か
上: 必要と十分
前: 必要条件で絞り十分性を確認する
ならばである.
このとき,結論はが成立するための必要条件である.
このように推論を重ねていくことは,
必要条件によって範囲を限定していくことに他ならない.
「必要条件で絞る」というと何か特殊な方法のようだが,そうではない.
「必要条件」とはもともと「絞って限定する」ものなのだ.
例題 1.6
[大阪市大過去問]
を整数とする.「方程式 が整数解 をもつ」
ためには, が奇数または4の倍数であることが,必要かつ十分条件であることを示せ.
解答
整数解をもつとする.それを
とする.すると,
となる.
なので, と の偶数,奇数は一致する.
だから,が奇数なら は奇数.が偶数なら は4の倍数.
つまり必要条件であることがわかる.
これは整数解をもつような が「奇数または4の倍数」に絞られたのだ.
は ではあり得ないことがわかったのだ.
逆に,
のときは
なのでたしかに
という整数解がある.
のときは
なのでたしかに
という整数解がある.
よって条件「奇数または4の倍数」は十分条件でもある.□
例題 1.7
[84東京工大]
を正の整数とする.
-
- (1)
-
とおくとき,不等式
が成り立つことを示せ.
- (2)
- が素数の整数乗になるをすべて求めよ.
必要条件で絞る方法を用いる整数問題の典型だ.
どのような必要条件を用いるか.それが小問でヒントとして与えられている.
そこで用いられているのは実数条件だ.
実数条件だけでも素数が二つに限定されるのだ.
解答
(1)
であるから,
を示せばよい.
より成立する.
(2)
が素数のべきになったとしてそれを
とおく.
一方,
であるから
とおける.
ここで,
なので,の範囲はである.
ゆえに(1)から
したがって次の三通りのいずれかである.
のとき.である.
したがって
となる.
このとき
であるから,.このようなは存在しない.
のとき.である.
したがって
となる.
このとき
であるから,
.とは
を満たせばよい.
より
のとき.である.
したがって
となる.
このとき
であるから,
.とは
を満たせばよい.
より
以上から
となる.□
例題 1.8
[01京大理系]
整数 に対し
とおき,
と定める.ただし,
は虚数単位を表す.このとき,
が任意の整数
に対して成り立つような正の整数
をすべて求めよ.
考え方
この問題はどうだろうか.
「どこから手をつけていいかわかりにくい」という声が聞こえる.
そのときは を同値変形で解きほぐすのだ.
まずは連続二数の積なので必ず整数になる. は
と,べき指数が4の倍数のときにかぎり1になる.
この辺りは前提として必要だ.そして,
同値変形を活用して問題を解きほぐすのだ.
解答
となる.
※ こうなればもう複素数を離れて,整数の問題になった.
つまり,
任意の整数 に対してつねに
となればよい.
のとき
. と は奇数偶数が逆なので,
整数 を用いて か と書けることが必要.
のとき
.
と は奇数偶数が逆なのでかと書けることが必要 .
両方成立するのは .つまり が必要.
逆に ならは8の倍数になる.
□
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