次: 微分法
上: 複素数
前: 構成方法
複素数に直交座標平面の点を対応させることにより,
複素数の集合は平面上の点と一対一に対応する.
この対応が定められた平面を,複素平面という.
複素平面のうち実数に対応する部分を実軸,純虚数に対応する部分と0を虚軸という.
このとき,複素数の絶対値
は,
直交座標平面での原点と点との距離に他ならない.
この距離に関して,複素平面は距離空間である.
今後この定義によってを複素平面と同一視する.
平面座標に極座標がある.つまり 直交座標でとなる点が極座標ではであるとする.
2つの座標の間には
が成り立つ.
これに応じて,複素数は極形式という表し方がある.
のとき
「形式」というのは「形」でのことで,同じ複素数が,
と
という2つの形をもつ.
極座標のは任意の実数でよいのだが,極形式のときには,
にとり,負にはしないようにするのが約束である.
また,角は軸の正の方向から反時計回りに計る.
角は偏角とよばれと書く.
このとき,三角関数の加法定理によって偏角の和と複素数の積が対応する.
とすると
これから同様にして
これから.
等が成り立ち,対数関数と同じ等式になる.
後に述べるように,複素関数としての等式
が成り立ち,逆にここから三角関数の加法定理が帰結する.
次定理もまた,ここからただちに示されるが,
ここでは,実の三角関数の定理として証明しておく.
定理 1 (ド・モアブルの定理)
任意の整数
に対して
が成り立つ.
■
証明
のとき.数学的帰納法で示す.
のときは両辺1であるから成立する.
で成立するとして,で成立することを示す.
よって,が負でないときは示された.
次に,のとき
よって,この場合も成立し,題意は示された.□
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Aozora
2020-04-17