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慶応医

(1)

(a+2c)2+4c(b-a-c)=a2+4bc

$(a,\ b,\ c)$は等式(Q)を満たすのでa2+4bc=pである.ゆえに $(a+2c,\ c,\ b-a-c)$ もまた等式(Q)を満たす.
(2)
a=b-cとする.

p=a2+4bc=(b-c)2+4bc=(b+c)2

b+c が自然数なので, p が素数であることに反する. a=2bとする.

p=a2+4bc=(2b)2+4bc=4b(b+c)

$b,\ b+c$ が自然数なので, p が素数であることに反する. ゆえに,a=b-ca=2bを満たすことはない.
(3)
手続きのうち,(i)と(iii)は,必ず変化する.変化しないときは手続き(ii)で

\begin{displaymath}2b-a=a,\ a-b+c=c
\end{displaymath}

となるときにかぎる.これから a=b .このとき

p=a(a+4c)

p は素数,かつ a+4c>1 なので a=1 . このとき

p=1+4c=4k+1

から c=k したがって題意をみたすものは $(a,\ b,\ c)=(1,\ 1,\ k)$であり, これ以外には存在しない.
(4)
等式(Q)を満たす自然数の組 $(a,\ b,\ c)$に対して上の手続きを1回行ったものを $(a',\ b',\ c')$,2回行ったものを $(a'',\ b'',\ c'')$と記す.これらは等式(Q)を満たす.
(a)
a<b-cならば $a'=a+2c,\ b'=c,\ c'=b-a-c$.このときは a'>2b' なので

\begin{displaymath}a''=a'-2b'=(a+2c)-2c=a,\ b''=a'-b'+c'=b,\ c''=b'=c
\end{displaymath}

(b)
b-c<a<2bならば $a'=2b-a,\ b'=b,\ c'=a-b+c$.このときは b'-c'=2b-a-cなので b'-c'<a'<2b'となる.ゆえに

\begin{displaymath}a''=2b'-a'=2b-(2b-a)=a,\ b''=b'=b,\ c''=a'-b'+c'=c
\end{displaymath}

(c)
a>2bならば $a'=a-2b,\ b'=a-b+c,\ c'=b$.このときは a'<b'-c' なので

\begin{displaymath}a''=a'+2c'=a,\ b''=c'=b,\ c''=b'-a'-c'=(a-b+c)-(a-2b)-b=c
\end{displaymath}

したがって2回の操作で元の組に戻る. したがって組の各要素はたがいにこの操作で入れ替わるものの組に分けることができる. この操作で変わらないものはただ一つなので,その他は2つずつの組になる. したがって等式(Q)を満たす自然数3つの組の全体の個数は奇数である.
(5)
等式(Q)は bc に関して対称である.したがって組 $(a,\ b,\ c)$ が等式(Q)を満たせば,組 $(a,\ c,\ b)$も満たす. (3)から等式(Q)を満たす自然数3つの組は少なくとも一組は存在し, (4)からそのような組の全体の個数は奇数である. もしすべての組が $b\ne c$ なら,2つずつが組になって そのような組の全体の個数は偶数になる. したがって,そのような組のなかには b=c となるものが存在する.このとき

p=a2+(2b)2

と表される.



AozoraGakuen
2002-06-21