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金沢前期理系

(1)
A(x)=A(y)B より各成分を比較して,

\begin{displaymath}\begin{array}{ll}
\sqrt{1+3x^2}=2\sqrt{1+3y^2}+3y&\cdots\mar...
...s\maru{2}\\
3x=3\sqrt{1+3y^2}+6y&\cdots\maru{3}
\end{array} \end{displaymath}

$\maru{2}$ が成り立っているとき,

\begin{eqnarray*}1+3x^2&=&1+3\{4y^2+4y\sqrt{1+3y^2}+1+3y^2\}\\
&=&9y^2+12y\sqrt{1+3y^2}+4(1+3y^2)=\{2\sqrt{1+3y^2}+3y\}^2
\end{eqnarray*}


よって, $\maru{2}$ を満たす正の x が存在すれば, それは $\maru{1},\ \maru{3}$ を満たす. $z=f(y)=2y+\sqrt{1+3y^2}$ とおく. f(y) は y に関する単調増加関数で f(0)=1 .さらに f(y)>y である. したがって x>1 のとき,z=f(y)と z=xyz 平面で y 座標が 0<y0<x である点で交わる. つまり題意をみたす y がただ一つ存在する.
(2)
A(x)=A(y)B のとき,

\begin{displaymath}A(y)=A(x)B^{-1}=A(x)\matrix{2}{-3}{-1}{2}
\end{displaymath}
である. よってA(x) の各成分が自然数なら,0<y<x より行列 A(y) の各成分も自然数で ある. y>1 なら同じ操作をくり返す.今 A(yk)=A(x)B-k とおく. yk>0 であるが さらにyk>1 であるかぎり yk>yk+1 となる.

\begin{displaymath}y_1>y_2>\cdots>0
\end{displaymath}

が得られる.自然数の単調減少列なので $y_{m-1}>1,\ y_m=1$ となる k=m が存在する. つまり A(ym)=A(x)B-m A(ym)=A(1)=Bより A(x)=Bm+1. ゆえに n=m+1 とおくと確かに A(x)=Bn となる自然数 n が存在した.

\begin{displaymath}A(x)=\matrix{\sqrt{1+3x^2}}{3x}{x}{\sqrt{1+3x^2}}
\end{displaymath}

$u=\sqrt{1+3x^2}$ とおくと

u2-3x2=1

となる.つまり A(x) で x が自然数のとき,その1-1成分と1-2成分 は,ペル方程式

X2-3Y2=1

の自然数解になっている.

これは構造定理の別解になっている.



AozoraGakuen
2002-06-21