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次: 5. 上: 2. 解答 前: 3.

4.

n=1 のとき. f(x)=x+b とおく. f(q1)=q1+bf(q1)が有理数なので, b=f(q1)-q1 も有理数である.

n=m のとき成立するとする.

n=m+1 のとき. f(x) を xm+1 の係数が1である xm+1 次式とし, 相異なる m+1 個の有理数 $q_1,\ q_2,\ \cdots,\ q_{m+1}$に対し $f(q_1),\ f(q_2),\ \cdots,\ f(q_{m+1})$がすべて有理数であるとする.

因数定理より

\begin{displaymath}f(x)=(x-q_{m+1})Q(x)+f(q_{m+1}) \quad \cdots\maru{1}
\end{displaymath}

となる.ここで Q(x) は m 次式で xm の係数は両辺の係数を比較して1である.

$q_1,\ q_2,\ \cdots,\ q_{m+1}$はすべて異なるので, $q_1,\ q_2,\ \cdots,\ q_m$に対し

\begin{displaymath}Q(q_i)=\dfrac{f(q_i)-f(q_{m+1})}{q_i-q_{m+1}}
\end{displaymath}

したがって $Q(q_1),\ \cdots,\ Q(q_m)$ はすべて有理数である.

数学的帰納法の仮定から Q(x) は有理数係数の多項式である.ゆえに$\maru{1}$から f(x) も 有理数係数の多項式である.

したがって題意が示された.

※別解 この問題は数学的帰納法を使うことなく解ける.

g(x)=f(x)-xnn-1 次式である. $g(q_1),\ g(q_2),\ \cdots,\ g(q_n)$もすべて有理数である.

n-1 次式 g(x) に対してn 個のxに対する値が定まれば g(x) は一意に定まる. 実際

\begin{eqnarray*}G(x)&=&g(q_1) \dfrac{(x-q_2)(x-q_3) \cdots
(x-q_n)}{(q_1-q_2)...
...\cdots
(x-q_{n-1})}{(q_n-q_1)(q_n-q_2) \cdots
(q_n-q_{n-1})}
\end{eqnarray*}


とおく.このとき $G(q_1)=g(q_1),\cdots,\ G(q_n)=g(q_n)$ なので恒等式の原理より G(x)=g(x) . したがって

\begin{eqnarray*}f(x)&=&x^n+g(x)\\
&=&x^n+g(q_1) \dfrac{(x-q_2)(x-q_3) \cdots
...
...\cdots
(x-q_{n-1})}{(q_n-q_1)(q_n-q_2) \cdots
(q_n-q_{n-1})}
\end{eqnarray*}


これから f(x) が有理数係数の n 次多項式であることが示された.

これが「ラグランジュの補間公式」の方法である.

これを勉強していた人は,「数学的帰納法で」という指示がかえって煩わしかったかも知れない.


AozoraGakuen
2002-03-16