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1の 乗根,すなわち方程式
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(2.24) |
の根は 個ある.それらは
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(2.25) |
である.これらはすべて偏角が異なり異なる複素数である.
しかも乗すると1になるので,方程式(2.24)の解である.
したがってこの個の複素数が次方程式(2.24)の根のすべてであることがわかる.
簡単のために
とおく.ド・モアブルの定理より,(2.25)は
と表される.
ここで なので,(2.25)において に与えるべき値は
を法としての一つの剰余系である.
さらに のとき
(2.25)において
は 倍してはじめて になるので,
は 乗してはじめて 1 に等しくなる.
1の 乗根のうち 乗してはじめて 1 になるものを1の原始 乗根という.
定理 21
1の原始
乗根は
個ある.それらは
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(2.26) |
において,
に
を法としての既約剰余系の値を与えて得られるものである.■
証明
すでに述べたように のとき
(2.26)の
は 倍してはじめて になるので,
は 乗してはじめて 1 に等しくなる.つまり は
原始 乗根である.
逆に が原始 乗根であるとする. は の根であるから
と表される.
もし なら とおくとき
なので,
となり, 乗してはじめて1となるという仮定に反する.
ゆえに となる.
が原始 乗根となることと,
と互いに素な を用いて と表されることが同値であることが示された.
よってその個数は個である.□
ちなみには原始 乗根である.これを次の定理22の証明に用いる.
例 2.3.1
1の6乗根は
そのうち原始6乗根は最後の二つだけである.
は原始3乗根,
は原始2乗根,1は1乗根である.
定理 22
の素因数分解を
とし,
とすれば,
は1の原始
乗根のみを根とする多項式である.
は
次で,その最高次数の係数は1,
その他の係数もすべて整数である.
ここに
はメビウスの関数である.■
証明
1の原始 乗根のみを単根とする方程式で
最高次数の係数が1であるものを とする.
定理21の証明より,その他の 乗根は
の約数 に対し、原始乗根になるが,
が1以外の約数を動けばは
以外の約数を動くので,原始 乗根以外の 乗根は
の真の約数 を次数とする原始 乗根になる.
原始 乗根と合わせた全体がちょうど
1の 乗根の全体である.つまり
となる.
を十分大きく各 が正の値をとるように固定する.
それぞれの最高次数の係数が正なのでそれは可能である.
その上で両辺の対数をとる.
整数 と に関する等式と見ればメビウスの反転公式(6節定理20)
が使え
つまり
両辺 の多項式で,十分大きい でつねに成立するので
に関して恒等的に成立する.したがって(2.28)が示された.
の次数は定理21よりで
その係数は(2.28)より明らかに整数である.
式(2.27)の分子分母の最高次数の係数はともに1なので分母を払って
係数比較すれば の最高次数の係数が1であることがわかる.□
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