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この自然数の集合には,和と積という演算が定義される.
証明
これらの証明は,難しくはないが煩雑ではある.
例えば和の結合法則:
を証明してみよう.
数学的帰納法にもとづく和の定義より
である.そこで
をに関する数学的帰納法で示す.
のとき.
はとの和の定義より成立する.
で成立するとする.
でも成立し,すべてので成立する.
以下順次自然数と自然数の和・積が厳密に定義される.
また
なども成立する.
これらの証明は省略する.
にに対して,
のとき,と定める.
のとき,
となるがある.このをと記し,の直前の要素という.
以下帰納的に
が定まる.これらを差という.
自然数の公理を満たすものがいくつもあっては困る.
しかし実は一つしかないことが示される.
定理 69
自然数の集合
はすべて同型である.
つまり二つの自然数の集合
と
があるとする.
と
のあいだの一対一対応
で
-
-
となるものがある.■
証明
の への写像 を
についての数学的帰納法で定める.
- (i)
- のとき とする.
- (ii)
- が定まったとき
とする.
この
を用いて
と定める.作り方から は における を含む昇列である.
このとき
は成立する.
でとなるとする.
より.ここにはとの直前の要素である.
もしならこれを繰りかえして
.
の作り方から.よってとなり,これが一対一写像であることもわかる.
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