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フェルマの小定理

定理 14       $n$を正整数,$a$$n$と互いに素な整数とする. このとき次式が成り立つ.
\begin{displaymath}
a^{\varphi(n)}\equiv 1\quad (\bmod.\ n)
\end{displaymath}

証明     $\alpha_1,\ \alpha_2,\ \cdots,\ \alpha_m,\ m=\varphi(n)$$n$と互いに素で,相互に$n$を法として合同でない整数とする. $a$$n$と互いに素なので, $a\alpha_i,\ a\alpha_j$$n$に関して合同になるのは $\alpha_i,\ \alpha_j$が合同なときにかぎる.よって $a\alpha_1,\ a\alpha_2,\ \cdots,\ a\alpha_m$$n$と互いに素でかつ互いに合同でない整数である.

$n$と互いに素でかつ互いに合同でない整数の個数が$m$なので, $a\alpha_1,\ a\alpha_2,\ \cdots,\ a\alpha_m$のそれぞれは $\alpha_1,\ \alpha_2,\ \cdots,\ \alpha_m$のそれぞれ1つずつと $n$を法として合同である.よってその積は$n$を法として互いに合同である.

\begin{eqnarray*}
a\alpha_1\cdot a\alpha_2\cdot \cdots \cdot a\alpha_m
&=&a^m\...
...\
&\equiv& \alpha_1\cdot\cdots\cdot \alpha_m\quad (\bmod.\ n)
\end{eqnarray*}

$\alpha_1\cdot\cdots\cdot \alpha_m$$n$と互いに素なので,
\begin{displaymath}
a^m\equiv 1\quad (\bmod.\ n)
\end{displaymath}

である. (証明終わり)

$n$が素数のときは $\varphi(p)=p-1$.したがって $p$と互いに素な$a$に対して

\begin{displaymath}
a^{p-1}\equiv 1\quad (\bmod.\ p)
\end{displaymath}

である.これをフェルマの小定理という. これをそのまま入試問題としたものもある.

また,$a$$p$と互いに素であるという条件をとり,任意の整数$a$とすると,

\begin{displaymath}
a^p\equiv a\quad (\bmod.\ p)
\end{displaymath}

が成り立つ.
Aozora
2015-03-02