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アルキメデスの求積法

このアルキメデスの数学に関する仕事のなかで最も有名なのは,いろんなものの面積や体積を求め たことだ.球の表面積 $S=4 \pi r^2$ を求めたのもアルキメデスである.その方法は,面積を小さ な部分に分け加える,という区分求積法であった.

この時代は,もちろん座標の方法もないし,関数を式に表すことも知られていない.彼は放物線で 囲まれた図形の面積を次のように求めた.一応座標に入れて説明する.アルキメデスはもっと図形 的にやったのである.

 

$x$ 座標が $\mathrm{A}$$\mathrm{B}$$x$ 座標の中点と一致する点を $\mathrm{M}$$\mathrm{A}$$\mathrm{B}$ での接線の交点を $\mathrm{N}$ とする.このとき一般に

\begin{displaymath}
\bigtriangleup \mathrm{ABM}=\dfrac{1}{2}\bigtriangleup \mathrm{ABN}
\end{displaymath}
になる.こういう放物線の性質を彼はよく知っていた.

そこで $\mathrm{A}(-1,\ 1)$ $\mathrm{B}(2,\ 4)$ ,求める面積を $S$ とし, $\bigtriangleup \mathrm{ABM}$ の面積を $T$ とすると,

\begin{displaymath}
S=\dfrac{4}{3}T
\end{displaymath}

となるというのである.

彼は次のように示した.右側の図の斜線部分の面積はちょうど $\dfrac{1}{4}T$ である(なぜか?). ここで斜線部分に対して同じ操作を行うとさらに $\dfrac{1}{4^2}T$面積が増える.このようにして 次々に加えていくとこの面積の和は $S$ に近づく.つまり

\begin{displaymath}
S=T+\dfrac{1}{4}T+\dfrac{1}{4^2}T+\cdots=\dfrac{1}{1-\dfrac{1}{4}}T=\dfrac{4}{3}T
\end{displaymath}

$T$ はいくらになるか

史織  $\mathrm{M}$の座標は $\left(\dfrac{1}{2},\ \dfrac{1}{4} \right)$なので

\begin{displaymath}
\overrightarrow{\mathrm{MA}}=\left(-\dfrac{3}{2},\ \dfrac{3}...
...htarrow{\mathrm{MB}}=\left(\dfrac{3}{2},\ \dfrac{15}{4}\right)
\end{displaymath}

ですから

\begin{displaymath}
T=\dfrac{1}{2}\left\vert\dfrac{3}{2}\cdot\dfrac{3}{4}+\dfrac{3}{2}\cdot\dfrac{15}{4} \right\vert
=\dfrac{27}{8}
\end{displaymath}

です.

南海 だから


\begin{displaymath}
S=\dfrac{4}{3}\cdot \dfrac{27}{8}=\dfrac{9}{2}
\end{displaymath}

というわけだ.

昔の人はいろんな面積をこのような区分求積法で求めた.日本の和算家も求めている.

史織 わー,たいへんですね.

南海 そこで「微積分の基本定理」なのだ.



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