次: ユニタリー群の場合
上: 存在と構成
前: ヒルベルトの基底定理
南海
この基底定理を根拠にすると,が有限群の場合,
ヒルベルトの問題が肯定的に示される.
多項式環の元に対し
とおく.ただし,はの要素の個数を表す.
耕介
これってが作用していった多項式の平均ではありませんか.
南海
そうだ.
補題 1
- は不変である.
- が不変なら.
-
に対し
.
- が不変なら
に対し.
証明
- の要素を
とし,をの任意の要素とすると,が群なので
である.だから
が何であってもは不変である.
- 明らかである.
- 明らかである.
-
□
さらに一点注意として,
へのの作用は次数を変えないので,
が不変式なら,を
と分割すると,各が不変式である.
を斉次不変式という.
定理 8
を
の有限部分群とし,
不変式の集合を
とする.
有限個の
不変式
が存在し,
の各要素
を適当な
多項式
を用いて,
と表すことができる.
証明
次数が正の斉次不変式が生成するのイデアルをとする.
ヒルベルトの基底定理により,
は有限個の次数正の不変斉次式
で生成される.
係数の
の多項式の集合を
とする.
を示せばよい.
は明らかである.そこでこれが一致しないとする.
の元であってには属さない不変式が存在する.
そのような不変式の斉次部分全体のなかで,
次数が最小のものをとする.
は次数最小の不変斉次式である.
なので,斉次式
が存在して
とかける.このとき
がすべての元なら結局がの元になる.
したがっての中にの元ではないものが存在する.
それをとする.
一方,はそれ自身不変斉次式なので
である.そして
なので,これはの最小性に反する.
よってが示された.□
Aozora Gakuen