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1の17乗根

南海  実は $p=2^k+1$ 型の素数では このようにしてもとの $p$ 乗根を求めることができる.5の次は17だ.

1の17乗根を求めよう.そこでまず $p=17$ はどちらの型かな.

耕一  $ \theta= \dfrac{2\pi}{17},\,\alpha=\cos \theta + i \sin \theta $ とします.

\begin{eqnarray*}
\alpha&&\\
\alpha^2&&\\
\alpha^{2^2}&=&\alpha^4\\
\alph...
...ha^9=\overline{\alpha}^8\\
(\alpha^{2^8}&=&\alpha^{18}=\alpha)
\end{eqnarray*}

ですから, $p=7$ と同じく半分で終わりです.

南海  しかも, $p=7$ と違って この8個の中にすでに共役なものが組になって入っている.

耕一  本当だ.

南海  この8個の和を $\gamma_1$ ,残り8個の和を $\gamma_2$ としよう. $p=7$ のときと同様にこの和と積は求まる.

耕一  でも計算はたいへんです.

南海  確かに.少し見通しよくすることを考えよう. 今は $\alpha$ を順次 $2^k\ (k=0,\ 1,\ \dots)$ 乗していったわけだが, 順次 $4^k\ (k=0,\ 1,\ \dots)$ 乗するとどうなるかな.

耕一 

\begin{eqnarray*}
\alpha&&\\
\alpha^4&&\\
\alpha^{4^2}&=&\alpha^{16}=\overl...
...{13}=\overline{\alpha}^4\\
(\alpha^{4^4}&=&\alpha^{52}=\alpha)
\end{eqnarray*}

となって4回で終わりです.

南海  そこでこの4個の和を $\beta_1$$\gamma_1$ のなかの残りの和を $\beta_2$ とする.

\begin{eqnarray*}
\beta_1&=&\alpha+\alpha^4+\overline{\alpha}+\overline{\alpha}...
...ta_2&=&\alpha^2+\alpha^8+\overline{\alpha}^2+\overline{\alpha}^8
\end{eqnarray*}

$\gamma_2$ をどのように二つに分けるかが難しいのだ.これまでのことをたどると分かるのだが 規則性をもって $\beta_1$$\beta_2$ の各項の指数を3倍することにしよう.

\begin{eqnarray*}
\beta_3&=&\alpha^3+\alpha^{12}+\overline{\alpha}^3+\overline{...
...{24}
=\alpha^6+\alpha^7+\overline{\alpha}^6+\overline{\alpha}^7
\end{eqnarray*}

これまでと同様に

\begin{displaymath}
\gamma_1+\gamma_2= (\beta_1+\beta_2)+(\beta_3+\beta_4)=-1
\end{displaymath}

つぎに $\gamma_1\gamma_2=(\beta_1+\beta_2)(\beta_3+\beta_4)$ を求め, $\beta_1+\beta_2$ $\beta_3+\beta_4$ を決定しよう.

耕一  計算します.

\begin{eqnarray*}
\beta_1\beta_3&=&\alpha^4+\alpha^6+\overline{\alpha}^2+\overl...
...\overline{\alpha+2\alpha^2+\alpha^3+\alpha^4+\alpha^5+2\alpha^8}
\end{eqnarray*}

\begin{eqnarray*}
∴&&\gamma_1\gamma_2=(\beta_1+\beta_2)(\beta_3+\beta_4)\\
&=&...
...alpha+\cdots +\alpha^8+\overline{(\alpha+\cdots +\alpha^8)}\}=-4
\end{eqnarray*}

符号は $p=7$ と同様に決まるので,

\begin{eqnarray*}
\gamma_1=\beta_1+\beta_2&=&\dfrac{-1+\sqrt{17}}{2}\\
\gamma_2=\beta_3+\beta_4&=&\dfrac{-1-\sqrt{17}}{2}
\end{eqnarray*}

です.

南海  するとだな, $\beta_1 \beta_2$, $\beta_3 \beta_4$ が分かれば次の段階に進める.

耕一  計算は上と同じですね.結果は

\begin{eqnarray*}
\beta_1\beta_2&=&\alpha^3+\alpha^9+\overline{\alpha}+\overlin...
...^6+\overline{\alpha}^5+\overline{\alpha}+\overline{\alpha}^2}=-1
\end{eqnarray*}

ですから $\beta_1,\ \beta_2$

\begin{displaymath}
t^2-\dfrac{-1+\sqrt{17}}{2}t-1=0
\end{displaymath}

の2解,符号を同様に見て

\begin{displaymath}
\beta_1=\dfrac{1}{2} \left(\dfrac{-1+\sqrt{17}}{2}+\sqrt{\df...
...ight)
=\dfrac{-1+\sqrt{17}}{4}+\dfrac{\sqrt{34-2\sqrt{17}}}{4}
\end{displaymath}

同様にして求めると

\begin{displaymath}
\beta_3=\dfrac{1}{2} \left(\dfrac{-1-\sqrt{17}}{2}+\sqrt{\df...
...ight)
=\dfrac{-1-\sqrt{17}}{4}+\dfrac{\sqrt{34+2\sqrt{17}}}{4}
\end{displaymath}

南海  いよいよ大詰め.このように $\gamma_1,\ \gamma_2$ から $\beta_1,\ \beta_2,\ \beta_3,\ \beta_4$ が求まっていく. この $\beta$ たちから $\alpha$ を求めるのだ.

\begin{eqnarray*}
(\alpha+\overline{\alpha})+(\alpha^4+\overline{\alpha^4})&=&\...
...alpha^5+\overline{\alpha}^3+\alpha^3+\overline{\alpha}^5=\beta_3
\end{eqnarray*}

したがって

$\alpha+\overline{\alpha}=2\cos \dfrac{2\pi}{17}$

\begin{displaymath}
t^2- \left(\dfrac{-1+\sqrt{17}}{4}+\dfrac{\sqrt{34-2\sqrt{17...
...t)t
+\dfrac{-1-\sqrt{17}}{4}+\dfrac{\sqrt{34+2\sqrt{17}}}{4}=0
\end{displaymath}

の解のうち正のものである.

これを計算し整理すると

\begin{eqnarray*}
\cos \dfrac{2\pi}{17}&=&-\dfrac{1}{16}+\dfrac{\sqrt{17}}{16}
...
...}\sqrt{17+3\sqrt{17}-\sqrt{34-2\sqrt{17}}-2\sqrt{34+2\sqrt{17}}}
\end{eqnarray*}

となる.

$\alpha$ の実部が求まった.虚部は $\sin \theta=\sqrt{1-\cos^2 \theta}$ ででる.

かくして1の17乗根が求まったのだ.

以上の方法は,1796年3月30日,19歳の青年ガウス(C.F.Gauss)が目覚めて起きようとしたときに 発見したものである.そのことが「ガウス日記」に出ている.



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