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南海 上の京大の問題はチェビシェフの多項式
そのものを問うている.いくつか付け加えて考えやすくするために次の定理にまとめよう.
定理 7
は自然数とする.
- すべての実数に対し
をみたし,係数がともにすべて整数である次式と次式が
存在する.最高次数の項の係数は である.
-
が成り立つ.
- となるは
またとなるは
-
はいずれも次の漸化式を満たす.
南海 これを証明しよう.
耕一 少しずつやってみます
(1) ド・モアブルの定理と二項定理により,
となり, 内は確かにの多項式である.
が偶数か奇数かで虚数部の最後の項の書き方が違うので,このようにしましたがいいでしょうか.
南海 十分意味がつたわるのでいいと思う.
耕一 これから,
とおける. そして, は次式, は次式である.
におけるの係数は,
また, におけるの係数は,
(2)
の両辺をで微分すると,
つまり,
これは関数としての恒等式であるから,
が得られる. つまり,
(3)
の範囲で考えると, とおけて,
となるから, より,
そして, の解は高々個しかないので, これが解のすべてである.
次に,
ここで,
に対して,
であるから,
より,
がの解である. そして, の解は高々個しかない
ので, これが解のすべてである.
(4)
耕一 (4)は 3項間漸化式を作るのですね.
したがって,
これから漸化式を作ります.
南海 ここはケイレイ・ハミルトンの定理を活用した作り方でやってみよう.
耕一 すると
ここで,
はケーリー・ハミルトンの定理により,
をみたすので,
である. つまり,
つまり, 各成分とも漸化式
をみたしている.
南海 以上で証明はできた.実際の式を作っておくことは大切だ.
耕一 はい.
例 1.6.3
に対して,
を求め
を確認する.
より,
より,
より,
より,
また,
なので,
そして,
なので,
となり, いずれも
をみたしている.
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