耕一 内分の方はよく知っていますが,外分は知りません.
南海 証明はベクトルを用いてはどうだろうか. 類似問題が09年の阪大にある.その解答を参考にして 証明してほしい.
耕一 はい.
証明
同様に二つの外角の一方を二等分する方向として を用いることができる.
これら二等分の方向が直線と交わる点を
とすると,
南海
線分を
が内分,外分しているとき,
一直線上の4点
は
調和点列であるという.
「反転と円環問題」にもこの比は出てきていた.
証明 中心に関する点の対称点を, と外接円の交点をとする.
の二等分線に関して直線
が対称の位置にあり,点
も対称の位置にあるので,
南海 もう一つ,内接円と傍接円の接点に関する補題が必要だ.
証明 図のように,内接円の他の辺との接点を , 傍接円と他の辺との接点を とする.
円の対称性から なので,
まず関係式
を示す.
である.
の二等分線に関する
補題3よりはと対称で,
とも同じ二等分線に関して対称である.したがって
つぎに補題2から,点と点は
を
に内分,外分する.よって
いま点を反転の中心とし,を反転の半径とする反転をとる. 方べきの定理よりこの反転で内接円と傍接円はそれ自身に移る. また九点円は反転の中心を通るので,ある直線に反転される. における九点円の接線は九点円との他に共有点はない. したがってはにおける九点円の接線と共有点がない. つまり,はにおける九点円の接線と平行である. 直線はにおける九点円の接線と平行であったので, と直線は平行である.
ところが関係式(5)は点と点はこの反転に関して 互いに移ることを示している.九点円は点を通るのでは点を通る. この結果は直線に一致する.
直線は内接円,傍接円に接しているので, 反転で戻した九点円は内接円,傍接円と接している. その接点は点 とこの反転で対応する点である. □
南海 ということなのだ.
耕一 接点も与えられるのですね. この接点の決め方と,幾何の証明での接点の決め方と, 同じ点を定めるのですね. 不思議な気がします.
南海 それは今後の課題としよう. さらにこの接点をさらに別の面からも特徴づけることができる. そこに進もう.