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通過領域と境界の曲線

南海  通過領域と通過しない領域の境界となる曲線を考えよう.直線を

\begin{displaymath}
a(t)x+b(t)y+c(t)=0
\end{displaymath}

とする.

この直線が動いて境界を形成するので,直線は各 $t$ に対して境界の曲線と 必ず共有点をもつわけだが,必ずその共有点で接している.

通過領域なのだから,接点の近くで直線が領域の一方の側にあり,したがって交わることはない.

この接点を

\begin{displaymath}
(x(t),\,y(t))
\end{displaymath}
と置こう.

接点は直線の上にあるのだから,

\begin{displaymath}
a(t)x(t)+b(t)y(t)+c(t)=0
\end{displaymath}

である.この両辺を $t$ で微分すると,

\begin{displaymath}
a'(t)x(t)+a(t)x'(t)+b'(t)y(t)+b(t)y'(t)+c'(t)=0 \quad \cdots \maru{3}
\end{displaymath}

を得る.

一方 $(x'(t),\,y'(t))$は接線方向であるから,直線と平行である.

$(a(t),\,b(t))$が直線の法線方向だから,これと $(x'(t),\,y'(t))$は直交する. つまり,

\begin{displaymath}
a(t)x'(t)+b(t)y'(t)=0
\end{displaymath}
である.したがって,3 とあわせて,

\begin{displaymath}
a'(t)x(t)+b'(t)y(t)+c'(t)=0
\end{displaymath}
を得る.

つまり,この接点は,

\begin{eqnarray*}
a(t)x(t)+b(t)y(t)+c(t)=0 \\
a'(t)x(t)+b'(t)y(t)+c'(t)=0
\end{eqnarray*}

を満たす.これは$x(t),\,y(t)$の連立一次方程式だから,$x(t),\,y(t)$について解くことが でき,境界の曲線の媒介変数表示が得られる.

このように直線群が接している曲線をこの直線群の包絡線と言うんだ.



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