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その他の方法

南海 フェルマ点についてはその他にもいろんな方法がある. 読者会のMLに寄せられたものを紹介しよう.

関沢正躬     「数の世界, 図形の世界」(国土社)     の紹介

三角形ABCをどの頂角も120度未満の三角形とします. 今, 点P を三角形の内部にとります. AP+BP+CPが最小になるようなPを捜せというのが問題でした.

話を決めるため, 三角形ABCの向き(頂点の順番)はAを原点, Bを $x$軸上の正の位置に持ってきたとき C が $y>0$ の範囲に来るようにとってあるとします.

さて, 三角形APCをAの回りに +60度回転させて三角形 $\mathrm{AP'C'}$ を得たとします. 上に述べた三角形の向きのとり方からAを中心にABから始めて正の向きに回転して行くと AC, $\mathrm{AC'}$の順に並んでいることに注意します.

また, 角 A が120度未満ですから, Cを60度回転して得られた $\mathrm{C'}$$y>0$ の領域にあります.

作り方から三角形PAP' は正三角形になります.(二等辺三角形で角A が60度だから)

したがって, AP=$\mathrm{PP'}$ です.

また, 三角形APC と三角形AP'C'が合同であることがすぐわかるので, CP = $\mathrm{P'C'}$ です.

ゆえに,


\begin{displaymath}
\mathrm{AP} + \mathrm{BP} + \mathrm{CP} = \mathrm{BP} + \mathrm{PP'} + \mathrm{P'C'}
\end{displaymath}

この最後の式は $\mathrm{BPP'C'}$ という折れ線の長さになっていることに注意します.

というわけで, 結局この折れ線の長さをできるだけ小さくすればよいということになりました. Bと $\mathrm{C'}$ を結ぶ折れ線の長さの最小値はBとCを結ぶ直線で実現されます. B, P, $\mathrm{P'},\mathrm{C'}$が直線上に並ぶ条件を調べれば容易に, 角APB = 角BPC = 角CPA = 120度がでてきます.□

『問題解法幾何学事典』(笹部貞一著,聖文社, 昭和39年)にある別解

三角形ABCで頂角はいずれも120°未満とする. 三角形ABCの内部の点Qを, AQを一定にして動かす.この円周上の点でBQ+CQが最小になるのはBとC を焦点とする楕円でこの円にる接するものの, その接点Pである.

なぜなら, 円周上の点Qは接点P以外は楕円の外にあるので BQ+CQ $\ge$BP+CP(一定)だから.

このとき楕円の接線の性質から $\angle$APB$=\angle$APCである.ここで Aに代えて他の頂点から考えても同じなので, 和が最小になるのは $\angle$APB$=\angle$APC$=\angle$BPC のとき.□

拓生 トレミーの定理を使うものばかりでもないのですね.

南海 このフェルマ点の定理は奥が深いのだ. さらに最近の入試でも出題された.



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