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微分方程式の解

南海  与えられた微分方程式を満たす関数を微分方程式のといい, 解を求めることを微分方程式を解くという.

微分方程式$\maru{1}$を解いてみよう.

$\maru{1}$

\begin{displaymath}
y\dfrac{dy}{dx}=-x
\end{displaymath}

とおいて両辺を$x$で積分するとどのようになるか.

拓生 

\begin{displaymath}
\int y\dfrac{dy}{dx}\,dx=-\int x \,dx
\end{displaymath}

左辺は

\begin{displaymath}
\int y\, dy=y^2
\end{displaymath}

と積分定数だから,まとめて

\begin{displaymath}
y^2=-x^2+C
\end{displaymath}

となります.つまり$x^2+y^2=C$です.半径は定まりません.

南海  上の計算で置換積分になっているところは

\begin{displaymath}
y\dfrac{dy}{dx}=-x
\end{displaymath}

から直ちに

\begin{displaymath}
y\,dy=-x\,dx
\end{displaymath}

とし,両辺の積分をとる,として

\begin{displaymath}
\int y\,dy=-\int x\,dx
\end{displaymath}

としてよい.

このように,微分方程式を解いて表れる定数$C$のことを任意定数という.

ここで,例えば

\begin{displaymath}
x=3\ のとき y=4
\end{displaymath}

のような条件をつけると$C$が定まる.

拓生  $C=3^2+4^2=25$なので半径5の円になります.

ところでこの微分方程式は

\begin{displaymath}
\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{x}{y}
\end{displaymath}

この方程式を満たす$x$$y$を座標にとって点 $\mathrm{P}(x,\ y)$とすると, 点$\mathrm{P}$での接線の傾きが $\dfrac{dy}{dx}$ですから, この式は直線$\mathrm{OP}$と,点$\mathrm{P}$での接線が直交している, ということを意味しています. だから円になるのですね.

南海  微分方程式の意味はそういうことだ.

任意定数を含んだ解を一般解, 任意定数に特別の値を与えて得られる解を特殊解という. また,任意定数を定める条件を初期条件という.



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