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微分方程式を解く

南海 局所的にも定数ではない解を求めよう.(5)から,
\[ y(1+y'^2)=\dfrac{1}{2gc^2} \] と変形できるので,右辺の定数を $ 2A $ とおく.この結果, $ y $ の微分方程式 \[ \left(\dfrac{dy}{dx}\right)^2=\dfrac{2A-y}{y} \] が得られる.定数なら $ y=2A $ となるので, $ y >0 $ で $ \dfrac{2A-y}{y} > 0 $ とする. $ -A< A-y\leqq A $ となるので, \[ A-y=A\cos t\ \left(0< t< 2\pi \right) \] とおくことができる.このとき, \[ \left(\dfrac{dy}{dt}\cdot\dfrac{dt}{dx}\right)^2= \dfrac{2A-y}{y} =\dfrac{1+\cos t}{1-\cos t} =\dfrac{\cos^2\dfrac{t}{2}}{\sin^2\dfrac{t}{2}} \] である. $ \dfrac{dy}{dt}=A\sin t=2A\sin\dfrac{t}{2}\cos\dfrac{t}{2} $ であるから, \[ \left(\dfrac{dx}{dt}\right)^2=\left(2A\sin^2\dfrac{t}{2}\right)^2 \] 玉は $ x $ 軸の正の方向に動くようにする.つまり $ \dfrac{dx}{dt}\geqq 0 $ にとる.これから \[ \dfrac{dx}{dt}=2A\sin^2\dfrac{t}{2}=A(1-\cos t) \] 両辺積分して, \[ x=A(t-\sin t)+D \]
初期条件から $ t=0 $ のとき $ x=0 $ .よって $ D=0 $ である. そして, $ y=A(1-\cos t) $ なので,最速降下曲線は \[ x=A(t-\sin t),\ y=A(1-\cos t) \] となる.サイクロイドである. $ x=a $ のとき $ y=h $ なので \[ a=A(t-\sin t),\ h=A(1-\cos t) \] とおくと, $ 0< t< 2\pi $ においては $ t $ ,そして $ A $ がただ1つに定まる(これは練習問題とする).
AozoraGakuen
2016-11-06