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放物線の場合

南海 係数は簡単にして,放物線$y=x^2$の縮閉線を求めよう.

太郎 この放物線を媒介変数で表すと$(t,\ t^2)$, つまり$f(t)=t$$g(t)=t^2$です.

\begin{displaymath}
f'(t)=1,\ f''(t)=0,\ \quad
g'(t)=2t,\ f''(t)=2
\end{displaymath}

ですから,$\maru{1}$$\maru{2}$はそれぞれ,

$ x+2ty=t+2t^3 $

となり,これから

\begin{displaymath}
x=-4t^2,\ \quad y=3t^2+\dfrac{1}{2}
\end{displaymath}

となります.
$ t $ を消去すると, \[ 27x^2=2(2y-1)^3 \] となります.

南海 これから,媒介変数での増減表を作り,凹凸まで調べれば曲線の概形が分かる.

Win Tpic 等を用いると,直接図を書いてくれる.一定の密度で座標を計算して曲線を描くのだ. それによると,$y=x^2$とあわせて次のようになる. なお,最初の楕円の縮閉線 Win Tpic で描いている.


太郎  放物線の場合,ある点を通る法線は,最大何本引けるのでしょうか.

南海  点 $ (X,\ Y) $ を通る法線は \[ X+2tY=t+2t^3 \] となる.よって,最大3本だ.

太郎  3本引ける条件を求めてみます.
$ f(t)=2t^3+(1-2Y)t-X $ とおきます. $ f'(t)=6t^2+1-2Y $ なので, $ 2Y-1\geqq 0 $ が必要で,このとき, $ t=\pm\sqrt{\dfrac{2Y-1}{6}} $ で極になる. $ \alpha=\sqrt{\dfrac{2Y-1}{6}} $ とおく.
このとき, $ f(t)=0 $ が重解を含めて3個の解をもつ条件は $ f(\alpha)f(-\alpha)\leqq 0 $ である. \[ f(\alpha)f(-\alpha)= X^2-\left(2\alpha^3+(1-2Y)\alpha \right)^2= X^2-\left(-\dfrac{2(2Y-1)^{\frac{3}{2}}}{3\sqrt{6}}\right)^2 \] となるので, \[ -\dfrac{2(2Y-1)^{\frac{3}{2}}}{3\sqrt{6}}\leqq X\leqq \dfrac{2(2Y-1)^{\frac{3}{2}}}{3\sqrt{6}} \] となります.
$ x=-4t^3,\ \quad y=3t^2+\dfrac{1}{2} $ で定まる曲線は,この領域の境界の曲線と一致します.



Aozora 2020-07-12