ではこれをもとに三項間漸化式を行列で求めよう.
三項間漸化式1に対し,連立二項間漸化式5を作る.
5の行列を
とする.
行列の 乗を求める方法はいろいろある.最も簡単で便利な方法を用いよう.
を変数として
を
で割った余りを とする.つまり
したがって
の2解を
とする.つまり
(1) のとき.
(2) のとき.
南海 これで三項間漸化式が解けたのだが,行列を使わない解法もまとめておこう.
拓生 はい.
三項間漸化式に対して,二次方程式
南海 上で求めた 数列 の一般項を少し違う立場で考えよう.
2数 と
二つの数列
に対して数列 を
そこで を実数の定数とし,一つの漸化式を満たす数列の集合を考える.
ただし初期条件 の値は実数とする.
このとき の要素 に対して平面ベクトル を 対応させることで は平面ベクトルの全体と一致する.
が に対応しが に対応していれば は に対応する.
したがってこの対応で演算もそのまま対応する. ゆえに と平面ベクトルは同じものと見なすことができる.
平面ベクトルの集合を,実二次元ベクトル空間 と書きあらわすと, は, ベクトル空間として と同型である.
さて,任意の平面ベクトル
は,平行でない二つのベクトル
を用いて
とくに 座標平面においては平行でない二つのベクトル のなかで を「基本ベクトル」と呼ぶ.
とすれば,8で定義された集合 についても同じことが言える.
の任意の要素を二つの 数列
で
二つの 数列
を
より
に対して数列
がともに の要素になり,対応する 平面のベクトル
二つの 数列
を
また, 数列
を考えると
数列
と数列
に対応する 平面のベクトルは
南海 最初の質問に関していえば,
(1) 拓生 君の方法で求まる数列が最初の漸化式を満たすことと,
(2) 初期条件が同じものは一つしかないこと
をいえば,最初の定期テストの解答で解になっている.
またすでに気づいているとは思うが, 連立漸化式を解くことは,から定まる行列の 累乗を求めることと同値である.
関係式を, あたかも三項間漸化式を等比数列を作って解くのと同じように変形していけば, を直接求めることもできる.
その結果は