しかし問題ではいつもヒントになることが個別に与えられ, 一般的な方法としてはよくわかりません.
南海 いわゆる固有値の方法というものだ. 固有値を本当に理解しようとすれば,一次変換とベクトル空間についての理解がいる. 時間があれば『二次行列による線形代数入門』を話そうと思っている.
とりあえず行列の変形という範囲に絞って固有値の方法を話そう.
行列に対しての形に変形できるということはどういうことか.
行列を
拓生
は
南海 そういうことだ.行列
とおく.
は
これを満たす0でないベクトルが存在するための条件は何か.
拓生 左辺の行列のが0,つまり
南海 これが相異なる二つの解 をもつときは, それぞれのの値に対してを満たすようなベクトル をとる.
は, 0でない実数倍だけとり方はあるが,いずれをとってもよい.
この2つのベクトルを, それぞれとに対応する固有ベクトルという. 実数倍しても同じことなので, 行列に固有な方向であると考えてもよい.
これでが求まり,連立漸化式などが解ける.
試しに次の連立漸化式を解いてほしい.
拓生
とおきます.まずを対角化し連立漸化式を変形する.
これから
なので,連立漸化式
これから
南海 もちろんとなるときも考えなければならならない. また要するに固有値とは何か,についてもこのままではわからない. それらについてはまた後日話すことにしよう.