次: 結論からさかのぼる
上: 条件と結論の分析
前: 条件と結論の分析
仮定された条件や示したい結論を同値変形する.
これができれば問題は半ば解けている.
仮定条件と結論を同値変形してそのあいだの隔たりが埋まれば,
多くの場合問題は解ける.
例題 2.6
[07早稲田・教育]
-
のとき,
次の不等式が成立することを示せ.
-
のとき,
次の不等式が成立することを示せ.
考え方
(1)は
結論の同値変形の一種であるが,
示したい不等式を移項し,左辺−右辺を変形する.
移項したり同類項をまとめたりすることはもっとも基本的な同値変形である.
(2)はいろんな方法がある.左辺から右辺を引いた式を,正の部分と負の部分でまとめると,それぞれ因数分解できることに気づきたい.あるいは,3個の場合はできなくても4個ならできることに気づけばそこから道はひらける.
解答
(1)
なのでである.
よって(1)の不等式が成立し,等号成立条件はである.
(2)
因数分解と式変形
を用いる.
なので,(1)とあわせて
が成り立つ.よって(2)の不等式が成立する.
等号が成立するために,第二の不等式群の条件からが必要で,
このとき,
,
であるから,
これは等号成立の十分条件でもある.
□
とする.(1)から
ここで,
を代入する.これから不等式
が得られる.
□
次のような問題でも,
条件と同値な等式をまず立て,
それを同値変形することで
点の満たすべき必要十分条件として点の軌跡が求まる.
例題 2.7
[08東大前期文科]
座標平面上の3点
,
,
に対し
を満たす点
の軌跡を求めよ.
ただし,
とする.
考え方
いろいろと図形的にやりたいのだが,なかなか難しい.
あるいは場合分けが必要だ.
そこで角の相等という条件を余弦の相等に置きかえ,
さらにそれをベクトルで表してその条件と同値な等式を作ろう.
それができればその同値変形を行うのだ.
解答
角を以上未満にとることにより,条件
は,条件
と同値である.
とする.
となる.
より
これらは0ベクトルではない.
この条件の下で条件は次の等式と同値である.
である.
なので,
となる.これを成分で書くと
根号の符号条件から
が必要で,このとき条件は
と同値である.つまり
これを展開し整理すると次式を得る.
条件は中心が
で原点を通る2つの円の共通の外部か共通の内部(と周)である.
よって求める軌跡は
ただし,
は除く.
これを図示する.
□
次: 結論からさかのぼる
上: 条件と結論の分析
前: 条件と結論の分析
Aozora Gakuen